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それは26世紀の人類が生み出した惑星級の
星系内生態系破壊用兵器のなれの果てであった。
銀河系中心域に確認された、明らかに敵意を持った
外宇宙生命体との接触に備えて建造されたそれは、
反応兵器や次元兵器と異なり空間を汚染することなく、
その効果範囲における全ての生態系を破壊する局地限定兵器であった。
月とほぼ同じ大きさのフレ-ムの中に満たされた、
すべてを侵蝕し、取り込み、 進化して、
自分以外の生命体すべてを喰い尽くすまで活動を続ける人の手による絶対生物、
それは、生体物理学、遺伝子工学、魔道力学までも応用して合成した人工の生ける悪魔だった。
これをバイパスパイルを通じて空間跳躍(D-wape)させ敵の母星の存在する
星域に送り込み全滅させる計画は完璧に進んでいるように見えた。
だが、ほんの些細なミスによって"それ"は太陽系で発動した。
150時間荒れ狂った"それ"は次元消去タイプの兵器によって異次元の彼方へ吹き飛ばされ、
一応の決着を見たのである。26世紀では。
だが、"それ"は生きていた。
異次元の中で進化を続けながら胎動を繰り返す肉塊。
気の遠くなるような彷徨の果て、時間を乗り越え、その力の発現した先には22世紀の地球があった。