10/11/16 17:09:23.00 71RvfuF90 BE:1294067849-PLT(12000) ポイント特典
sssp://img.2ch.net/ico/omochi.gif
「最近の若者は海外旅行に行かなくなった」と言われ、「背景には若い世代の内向き志向がある」
と指摘する声が多い。そんななかで、山口誠・関西大准教授(メディア研究)の『ニッポンの海外旅行』
(ちくま新書、819円)が刊行された。世の中に流布する見方だけでなく、「海外旅行がなぜ若者に
魅力的ではなくなったか」という側面から、旅の問題の本質を問いかけている。
山口さんは1973年生まれ。ガイドブックやテレビの旅番組、旅行記などの変遷を切り口に社会学
的なアプローチを行い、この本にまとめた。
1980年代半ば以降、アジアを中心にした「海外貧乏旅行」が急速に広まり、リュックサックを
背負った日本人のバックパッカーが各国を闊歩(かっぽ)した。しかし、20代の出国者は96年を
ピークに減少し、10年余り後には半減。この15年間で一体、何が起こったのか。
「96年を境に、風船が割れるように若者のバックパッカー文化が消えました。そして、食べて買
い物してエステに行って終わり、という想像力を欠いた海外旅行が残った。なぜ、こんなに旅が
消費化し、矮小(わいしょう)化していったのかを考えたかったんです」と山口さん。
注目したのは、航空券と宿泊先のみを用意した格安スケルトン・ツアー。バックパッカー全盛の
80年代半ばに登場したこのツアーが、のちの旅を大きく変えていったという。短期間で効率よく
各地を見て回るためのガイドブックが望まれ、76年に誕生した『地球の歩き方』にも消費情報が
目立つようになった、と指摘する。
「90年代に入ると、テレビも旅番組をやめていくんです。ロケにお金がかかりますから。テレビの
中の海外が貧相化、単一化して、多様性を失っていく。アフリカの奥地も韓国のミョンドンも、同じ海外になった」
96年には、お笑いコンビ「猿岩石」がバラエティー番組の企画でユーラシア大陸をヒッチハイクし
た。「彼らにあこがれて旅に出た男の子たちもいるとは思うんですが、旅が見せ物になってしまった。
彼らがやっていた旅はコピーのコピー。新しい旅の形を生み出さず、本当の意味での影響力はなかった」
URLリンク(mainichi.jp)