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◇第2子出産間近、家族5人失う 30代男性、3週間後に自殺
被災地では、家族を失ったショックなどから自殺するケースもあり、悲しみの連鎖が懸念される。
「男の子らしい。もうすぐ生まれるんだ」
岩手県陸前高田市に住む30代後半の会社員男性はうれしそうに話していたという。
兄によると、男性は妻と2歳の長男、義理の両親と祖母の6人暮らしだった。4月5日が第2子の誕生予定日だったが、一家の幸せは3月11日の津波にのまれた。大船渡市内の会社にいた男性だけが無事だった。
男性は避難所で過ごしながら、避難所や遺体安置所を巡った。14日ごろ、大船渡市内で偶然に会った高校の同級生は男性の表情が忘れられない。リュックを背負い「家族が見つからない」とつぶやき、疲れ切っていた。
震災約1週間後には携帯電話が通じ、関東地方で暮らす兄と連絡を取り合った。
「お前は大丈夫か」
「安心して」
「おれも実家に戻るよ」
「こっちに来ても電気も水もない」
20日ごろから男性は大船渡市内の知人宅に身を寄せた。医療チームの診察を受け、総合病院の精神科に通院するようになり、精神安定剤を処方された。
「病院で薬もちゃんともらっている」。兄は電話で聞き「なら大丈夫だろう」と思ったという。だが31日、男性は実家に戻り、練炭自殺をした。
「惨状を見ているだけでも気持ちがおかしくなる。違う環境に連れ出していれば、こんなことにならなかったかもしれない」。兄は悔やむ。「残された家族や友人の悲しみは言葉に表せない。助かった人にはどうか生き続けてほしい」【宮崎隆】
毎日新聞 2011年5月22日 東京朝刊