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■森祇晶 「フロントの嫌がらせに負けなかった / 私も似た経験」
この優勝は普通の優勝ではない。優勝争いの最中に監督、コーチの今季限り
での退団が相次いで発表された。はっきり言う。現場への嫌がらせとしか思
えない。球団が「勝つな」と言ったのに等しい。そんな異常事態の中でよく
勝ち続け、ゴールしたと思う。
私にも似た経験がある。西武監督時代の94年、巨人と日本シリーズを戦っ
ている最中に退団報道が出た。心に秘めたまま、最後まで勝負を全うしたかっ
たのだが、表に出てしまった。選手に動揺するなと言うほうが無理だ。日本
ハムが、梨田監督の今季限りの退団発表後に失速したのがいい例だ。
この優勝は球団に対する選手の無言の抵抗であり、8年間の落合野球を否定
されたことに対する現場の意地だろう。落合監督は中日という地域色の強い
チームを常に優勝争いできるチームに変革した。そのためにはこれまでのし
がらみ、なれ合いを断つことが必要と考え、周囲の不興を買っても立場を変
えなかった。それが間違っていなかったことは、8年間で4度のリーグ優勝で
証明されている。
今年ほど、監督の去就がシーズン中に話題になったことはない。しかも優勝、
CS争いの最中に。日本の首相も同じだが、長期的な展望を持たないまま、トップの
首をすげ替えても一時的な効果しかない。ひたすら勝利を目指すからこそ、感動を
呼べる。今回の中日の優勝は、プロ野球の本質をあらためて示してくれた。
(日刊スポーツ評論家)