11/06/09 22:44:31.13 69at/MIF0
本拠地、QVCマリンフィールドで迎えた阪神戦
先発成瀬が大量失点、打線も勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年は18連敗あるで」の声
無言で帰り始める選手達の中、五月月間MVPの井口は独りベンチで泣いていた
ホークスで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今のマリーンズで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」井口は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、井口ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってブログしなくちゃな」井口は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、井口はふと気付いた
「あれ・・・？お客さんがいる・・・？」
ベンチから飛び出した井口が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにホークスの応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする井口の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「井口、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返った井口は目を疑った
「む・・・村松さん？」 「なんだ井口、居眠りでもしてたのか？」
「と・・・鳥越コーチ？」 「なんだ井口、かってに鳥越さんを引退させやがって」
「松中さん・・・」 井口は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
１番：柴原 ２番：川崎 ３番：井口 ４番：松中 ５番：城島 ６番：バルデス ７番：ズレータ ８番：村松 ９番：鳥越
暫時、唖然としていた井口だったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「勝てる・・・勝てるんだ！」
金森コーチからグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走する井口、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・
翌日、ベンチで冷たくなっている内川が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った