10/12/22 10:56:03 R4GcbLjJ0
本拠地、ヤフードームで迎えた日ハム戦
先発杉内が大量失点、打線も勢いを見せず惨敗だった
ドームに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年はもうCS無理だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、鷹の安打製造機内川は独りベンチで泣いていた
WBCで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今のソフトバンクで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」内川は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、内川ははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」内川は苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、内川はふと気付いた
「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出した内川が目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにベイスターズの応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とする内川の背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
尾花「お前たち、そろそろ養成ギプスを外せ」
石川「ギプスって何すか?」
村田「よし、今日も焼肉に行こう」
藤田「はい!」
内川は半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
1番:内川 2番:石川 3番:ハーパー 4番:村田 5番:スレッジ 6番:カスティーヨ 7番:下園 8番:武山 9番:加賀
暫時、唖然としていた内川だったが、全てを理解した時、彼の心には濃い霧が立ち込めていた
「・・・勝てる気がしねぇ・・・」
松本からグラブを受け取り、グラウンドへ駆け出す内川、
その目は虚ろに宙をさ迷っていた・・・
翌日、ベンチで首を吊っている内川が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った