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「今でも劣等感が…」教習所に通ったけど運転免許を取れなかった人たちの苦悩
令和2年版「警察白書」によれば、日本人の運転免許保有者(令和元年)は20代は約8割、30~50代では9割を超えている。
成人で免許を持っていない人は少数派ということになるが、そのなかには最初から免許を取る気がなかった人だけでなく、免許を取りたくて教習所に通ったにもかかわらず断念したという人もいる。
「他の人はごく普通のようにできているのに、自分だけできなかったという劣等感がいまだにすごくあります。」「僕にとって相当なコンプレックスです」
そう胸中を明かすのは、IT企業で働く30代の男性・Aさんだ。
車の免許を取得できなかったことが辛く、新卒で入社した会社を1年あまりで退社。免許が不要な職種に変更して、職を転々としながら現在の会社にたどり着いたという。
教習所には、わずか「5回」で“不登校”になったそうだ。約20万円を支払っていたが、どうしても運転に馴染めず、退所を申し出たという。
「ハンドルをうまく回すことはおろか、車線変更ではサイドミラーで後方確認して、ウインカーを出して……みたいな手順はパニックだし、道路上で距離感が全然つかめない。何度やっても体が覚えてくれず、教官には大きなため息をつかれました。
車は怖いし、教官はもっと怖いし、通うのがイヤになって……。大学まで、学校がイヤになったことはありませんでしたが、教習所だけは無理でした。しまいには、教習所のことを考えると体調が悪くなってきました。お金はもったいなかったですが、結局、やめることになりました」(Aさん)
この挫折を知った父親から「情けない。免許も取れない奴はどんな仕事でもダメだ!」と言われたことを、Aさんは今でもよく覚えているという。
免許未取得であることが他人に知られると、「今からでも取得した方がいい」と言われ、さらに挫折した経験がバレると「えっ!?」など、信じられないといった面持ちで驚かれることも多く、その度に劣等感に苛まれている。
「教習所に通えばほとんどの人が運転できるようになるのに、僕にはできなかった。人として何かが劣っているようで、完全に黒歴史です」(Aさん)
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