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この構想に北朝鮮側も応じ、'90年代半ばには年間約1000人の日本人信者が一人数万~100万円の献金を携え「聖地」を訪れていたことが当時、報じられている。文氏は悲願を叶え、北朝鮮は文氏のおかげで巨額の外貨を得た可能性がある。
また、統一教会には複数の企業を傘下にもつコングロマリットとしての側面もある。北朝鮮では、教団と北朝鮮政府が合弁で設立した自動車会社「平和自動車」が政府公用車を製造していた。平壌有数の高級ホテル「普通江ホテル」も当時は統一教会が実質的に経営しており、'00年代まで多くの日本人信者が従業員として働いていたという。
教団はこうしたビジネスで利益を得る傍ら、北朝鮮政府に様々な便宜をはかっていたとみられる。
「私が以前取材した平和自動車の元最高責任者は、朝鮮労働党機械工業部長でミサイルの専門家として米国にマークされていた朱奎昌氏(故人)と密接な関係にあったと証言しています。彼は、『北朝鮮当局に要求されて、軍需物資を北朝鮮内に運搬したこともある。そうしないと、事業が円満にできなかった』とも語っていました」(前出・柳氏)
94年には、統一教会系とされる日本の商社が旧ソ連製の退役潜水艦を北朝鮮に転売しようとし、激震が走った。通産省が勘付いてストップをかけたが、ロシアと北朝鮮は直接取引に移行し、最終的に12隻の潜水艦が北朝鮮に渡った。前出と別の教団元幹部が言う。
「北朝鮮の目的は潜水艦そのものの軍事転用ではなく、潜水艦に搭載されていたミサイル発射システムだったと考えられます。このとき得た技術が、その後の北朝鮮のミサイル開発を一層加速させた可能性は高いでしょう」
カネの力で北朝鮮政府や金一族に食い込んだ統一教会は、日本政界における影響力をますます強めた。「北朝鮮政府の内情を知っている」「高官に引き合わせる」と謳う統一教会系の「フィクサー」が永田町を跋扈し、文氏の最側近といわれた朴普熙氏は自民党重鎮へのパイプを築いた。
日本で巻き上げたカネが核ミサイルに
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