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そんなパックン親子が、しばらく頼らざるを得なかったのが、アメリカ版の生活保護ともいえる食料品購入券「フードスタンプ」だ。
「大嫌いな制度です。貧乏人をバカにしていると感じるから。今はわかりませんが、当時のフードスタンプは使うとき、お釣りがもらえませんでした。
貧乏人に現金を持たせると、薬物や酒、ギャンブルに使ってしまうという考え方が根底にあるからです。
使い方も面倒。レジ係は大抵、『店長、どうすればいいの?』と声を張り上げます。すると、周りの客が『あ、貧乏人だ』という目でこちらを見始める…。
もちろん、支えられている身としては感謝しなきゃとも思います。でも、わざわざ『貧乏扱い』しなくてもいいじゃないか。
一番悲しかったのは、フードスタンプでドッグフードが買えなかったとき。母は恥ずかしそうな顔をしていました。貧乏人が犬を飼うなんてぜいたくだ、という決めつけで、屈辱的でした」
明日の食事にも困るというほどではないが、「相対的貧困家庭だった」という中高生時代。お金がなくて諦めたことも多かったという。
「最も記憶に残っているのは、アメリカンフットボールのジュニアチームに入るのを諦めたこと。11歳か12歳のときでした。アメリカではアメフトは花形スポーツ。
でも、家計を考えると、母親にユニホームや防具を買ってほしいとは言えない。
それに、アメフトでは父親が練習や試合に関わるのが当たり前なのですが、うちには、その父親もいませんでした。
すごく悔しかったですよ。でも、できないものは、しょうがない。逆転の発想で、あまり道具にお金がかからない体操や高飛び込み、ビーチバレーをやろうと考えました。
すると、マイナースポーツで選手が少ない分、新聞に取り上げられるほど活躍できた。貧乏でも前向きに頑張れば成功できる。そんな原体験になりました」
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