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日本放送協会(NHK)は11日、テレビを設置しながら期限までに受信契約の申し込みをしなかった場合などに徴収できる割増金制度を記した規約素案を公表した。素案では、受信契約申込み期限を“受信機設置月の翌々月末日まで”、割増金の倍数を“2倍”と設定し、2023年4月からの運用目標が示された。今後経営委員会は、公式サイトでひろく意見を募った後、その意見を参考に案をとりまとめ、総務省に認可申請する予定。
NHKの受信規約変更は、“受信料の適正かつ公平な負担”を目的に行なわれた改正放送法の施行、および受信契約を規定する総務省令の改正をうけて実施されるもの。主な変更点としては、「受信契約の申込み期限」のほか、NHKが対象者に課す「割増金」に関する規定が盛り込まれた。
改正放送法が規定する割増金の徴収対象は、「不正な手段により受信料の支払を免れた場合」と「正当な理由がなくて第二号に規定する期限までに受信契約の申込みをしなかった場合」の2つ。
前者の“不正な手段”とは、「放送受信契約の解約の届け出の内容に虚偽があったときその他第9条の放送受信契約の解約について不正があったとき」「放送受信料免除の申請書記載の内容に虚偽があったときその他第10条の放送受信料の免除について不正があったとき」「その他放送受信料の支払いについて不正があったとき」。これらに該当する場合、NHKは対象者に、支払いを免れた放送受信料に加え、その2倍に相当する額の割増金を請求できる、とした。
後者の“期限までに受信契約の申込みをしなかった場合”についても同様。受信機の設置の翌々月の末日までに、正当な理由なく受信契約をしない場合は、所定の受信料の2倍に相当する額の割増金を請求できると定めた。
翌々月末日という設定について、素案では「2~3か月の申込期間があれば視聴者からNHKに対し十分に受信契約を申込みいただくことができ、NHKからも申込みを促す等の必要な案内が可能」と記載。今回のこの申込み期限は、すでに「地上契約」を結んでいて、新たに衛星放送の受信設備を設置した場合も同様に適用する、としている。
また、割増金の2倍という設定については、「国内類似法制度の水準や公平負担が実現されることを期待して導入された制度であることを踏まえて、割増金の倍数は改正省令で定める上限の『2倍』と規定」したという。
なお、今回の変更規約の施行“以前”の受信機設置者の割増金の取扱いについても記載。契約申込み期限は「変更後の受信規約施行日の翌々月末日まで」、割増金請求期間は「変更後の受信規約施行後の期間分」とした。
素案では、割増金についてのNHKの考え方も明記された。
「割増金が導入されても、NHKの価値や受信料制度の意義をご理解いただき、納得してお手続きやお支払いをいただくという、これまでのNHKの方針に変わりはありません。割増金は、事由に該当する場合に一律に請求するのではなく、個別事情を総合勘案しながら運用していくものと考えています」との方針を記載。
なお、法改正時の付帯決議(抜粋)においても、「協会は、受信契約の締結に応じない者を対象とする割増金制度について、まず受信契約についての理解を得るため最大限努力し、真にやむを得ない場合にのみ割増金の徴収を行なうこと」と記されている。