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ロシア軍の侵攻が続いているウクライナで、ウクライナ軍の反転攻勢により解放される地域が広がってきた。
ゼレンスキー大統領はおよそ半年ぶりに奪還した北東部ハルキウ(ハリコフ)州の都市イジュムを電撃的に訪問して兵士を慰問し、国旗を掲げて戦死者を追悼しながら戦う国民の士気を鼓舞した。国際社会が結束して支援することによりロシアの侵略を食い止めなければならない。
ゼレンスキー氏はビデオ演説で、ハルキウ州ほぼ全域が解放され「多くの人が不可能と考えていたことを再び成し遂げることができた」と訴えた。9月の反転攻勢でウクライナ軍は東部と南部の8500平方㌔を解放しており、親露派が支配するドネツク、ルガンスク両州とロシアをつなぐ補給路の要衝を押さえる形になった。
ロシアは、一方的に独立を承認した「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」を自称する親露派による両州の完全支配を目標にした。ロシア軍の加勢によって7月初旬にルガンスク州全土の「解放」をロシアは宣言した。ルガンスク州では、ウクライナ軍が最後の拠点リシチャンスクの攻防戦で砲火に圧倒されて戦略的な撤退を余儀なくされた。
続いてロシア軍と親露派勢力はドネツク州全土の掌握に向け夏の攻略に移行したが、州の約3分の1を押さえるウクライナ軍を相手に苦戦した。米国が供与した155㍉榴弾(りゅうだん)砲(M777)、高機動ロケット砲システム「ハイマース」の配備が進み、ロシア軍の前進を防いだ効果が大きい。
一方、ロシア軍は2月の侵攻開始から、リシチャンスクや南東部の港湾都市であるドネツク州マリウポリなどウクライナ軍の拠点を攻略するため、焦土戦を展開し大量の砲弾を消費してきた。砲弾不足が最近のロシア軍の動きを鈍くしているとみられる。
米国防総省のライダー報道官は記者会見で、ロシアが北朝鮮に砲弾や弾薬を提供するよう要請しているとみられる動きがあることを指摘している。その量は数百万発とも言われており、いかに大量の砲弾の雨をロシア軍がウクライナに降らせてきたかが知れる。
ウクライナはこの機に南部へルソン州でも反撃を進め、米国のシンクタンク「戦争研究所」は衛星分析によって前線基地のロシア軍のほとんどが退却したと指摘した。当面、ウクライナ軍の反転は優位に進むとみられるが、ロシア軍は重要インフラを攻撃するなど市民を巻き込む凄惨(せいさん)な争いはなおも続いている。
しかし、戦況悪化を受けてロシアのプーチン大統領は中国の習近平国家主席との会談で軍事的、経済的支援を要請するとみられるが、国際的な対露制裁に風穴を開けることにならないか警戒を要する。
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