10/07/29 23:49:53
岐阜の寺で説法をしている。誰にも会いたくないと言っている―。111歳で都内の男性最高齢とされた東京都足立区の加藤宗現
さんが、死後約30年経過したとみられる白骨化遺体で見つかった。区は何度も自宅を訪れたが、家族が拒み、会うことはできなかった。
区は「強制的に立ち入る権限はなく、存命の確認が困難だった」と力無く話した。
「まさか自宅に死体があるとは思わなかった」。区戸籍住民課の初鹿野学課長は、何度も訪れた玄関先の奥で加藤さんが亡くなって
いた事実を知り、驚きの言葉がついた。
区によると、加藤さんの安否について初めて連絡があったのが1月27日。近所の女性民生委員から「最高齢者の加藤さんをしばらく
見ていない。確認できないか」と連絡があった。
2月上旬、区は対応会議を開き、職員が自宅を訪問したところ、「家で寝ている」「会いたくないと言っている」などと玄関先で家族が
話し、面会できなかった。加藤さん宅には長女夫婦と2人の孫の計4人が同居していた。
「弟がいる岐阜の正道寺で説法をしている」と説明されたこともあったが、その寺に加藤さんはいなかった。「広報誌に紹介したい」と
写真の提供を申し込んでも、断られた。「一目だけでいいから、会わせてもらえませんか」。職員がこう説得してもかなわず、最後は警察の
捜査に委ねるしかなかった。
区によると、加藤さんは2007年4月以降、区内最高齢だった。死亡届が出されなければ「生存」扱いとなり、敬老の日近くになると、
「長寿者」として毎年、都に報告していた。
区によると、70歳以上を対象にした「生きがい奨励金」として90年以降、11万6千円分の現金や商品券が支給されたとみられる。
90年に申請書が出ていた。
健康な90歳以上が対象の「元気高齢者記念品」でも本人名義の申請があり、08、09年、区長のお祝い文を添えて計2万円分の
商品券を簡易書留で贈っていた。米寿と白寿の敬老祝い品も贈っていた可能性があるが、資料は残っていないという。区は「該当しない
のに受給していたのであれば、返還請求せざるをえない」としている。(小泉信一、黒川和久)
◇
■足立区の対応
1月27日 民生委員から介護保険課に「加藤さんを見かけていない」などと相談
2月4日 対応会議を開く
15日 住民基本台帳法に基づく実態調査を実施。初めて訪問し、長女から「寝ている」と証言を得たが、直接は会えなかった
5月7日 関係各課が集まり、対応を協議
14日 千住署に実態調査の協力依頼
6月11日 福祉管理課長、戸籍住民課長らが長女と面会
7月15日 孫の1人に電話すると「(加藤さんは)母と姉が管理しており、私は一切関知していない」と説明
21日 戸籍住民課長らが加藤さん宅訪問。翌22日再訪。いずれも応答なし
26日 千住署員と区職員、共済組合職員が訪問。「2階で寝ている。会いたくないと言っているのに会わせるわけにはいかない」
と長女は繰り返し主張
27日 千住署が区役所に加藤さんの戸籍謄本と住民票を請求
28日 「白骨化した遺体が発見された」と千住署から区役所に連絡
ソース(朝日新聞) URLリンク(www.asahi.com)