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(>>1の続き)
●親族や家事使用人を含めた入国手続きの簡素化なども
外国企業が優遇措置を受けるには、まず日本での拠点立地計画を作り、それを日本政府
が認定するという手順を踏む。
海外から経営者、技術者、研究者といった高い能力を持った人材を呼び込むことや、長期
的に拠点を維持しながらアジアで事業を拡大していくことなどが、計画に認定を与える条件
となる。
地方税を課税している都道府県や市町村など自治体にも法人課税の減免を求める。各地の
大学と連携して研究開発を進めたり、地場産業と関連する分野の外国企業を誘致するなど、
それぞれの地域の特色に合った産業集積につながるような誘致活動を促す考えだ。
また、有能な人材を確保するために、所得課税の減免や、親族や家事使用人を含めた入国
手続きの簡素化なども検討する。配偶者の就労が制限されている現状も見直す。
●企業全体を対象とする法人税減税構想も浮かぶ
6月の成長戦略策定に向け、外国企業の法人税負担をどこまで減免するかでは、財務省の
抵抗も予想される。日本企業にとっては、強力なライバルが日本市場に参入してくることに
つながる。すでに日本に進出している外国企業にとってもうまみのない施策だ。
しかし日本経済を再び活性化させるための起爆剤として、成長著しいアジアの活力をいかに
取り込むかは政府の成長戦略の最優先課題である。日本をアジアの拠点として再構築する
には、アジアで活躍する多国籍企業の参入は不可欠だろう。
そして、外国企業向けの法人税減免策の延長線上には、企業全体を対象とする法人税減税
構想が浮かんでいる。
直嶋正行経済産業相は19日の講演で、法人税について「私も高いと思っている。消費税との
関係や将来の財政が議論されているが、日本を成長させるために何が必要かとの観点から
法人税を改めてとらえ直すべきだ」と語った。
●民主党中枢がようやく重い腰を上げた
国際市場で競争する中国、韓国の法人税率は20%台。減少著しい日本の法人税収を中長期
的に回復させるためにも、まず日本に拠点を置く企業の収益力を立て直すことが先決と言える。
日本経済団体連合会や経済同友会が成長戦略として消費税率の引き上げと法人実効税率
の引き下げを求め、自民党がマニフェスト(政権公約)でこれに呼応する中、民主党政権中枢
の発言は曖昧模糊としたままだ。
成長戦略と並行して検討が進む「中期財政フレーム」や政府税制調査会での税制改革論議
で、消費税増税と法人税減税の方針をどう位置づけ、いかにマニフェストに織り込むか。7月の
参院選を控え、日本経済の成長を支える税制の将来像を描き、実行できるか。少なくともその
青写真は描かれつつある。
(終わり)