10/04/13 08:03:04
政府が6月から実施する高速道路の新たな料金制度を発表した。現在の「休日1000円」などの割引制度の大半をなくし、普通車ならば
2000円までとする上限料金制を導入することが柱だ。
自民党政権時代に始まった現在の割引制度は車種や時間帯によって複雑だった。この点で上限料金制への一本化は分かりやすい。
環境対策としてエコカー減税車の料金を安くするのも納得できる。ただし全体として利用者の料金負担は増える。
それにもまして問題なのは、料金割引制度を見直す最大の狙いが、高速道路整備の財源調達にあることだ。割引制度の財源として残って
いる約2兆3000億円のうち、約1兆1000億円を高速道路の新設や車線数を増やす事業に回す。
民主党が昨年、政府に提出した重点要望に沿った内容だ。前原誠司国土交通相は当時、民主党の要望について違和感があると話して
いたが、結局、そのまま受け入れた。
道路料金の引き下げは本来、高速道路各社の経営努力で進めるべきもの。それが道路民営化の目的だったはずだ。景気に配慮して国が
一定期間、割引を手助けするのはやむをえないとしても、そのために手当てした財源の一部を経済効果の薄い道路の建設にまで使うのは
おかしい。
東京外郭環状道路のように経済効果の面から整備を急ぐべき路線があるのは事実だ。しかし国交省は今回、昨年秋に凍結した6路線の
拡幅事業のうち、4つを予定通りに実施することを決めた。これでは選挙対策といわれても仕方がない。
高速道路の料金割引は福田政権時代に原油高対策として始まった。高速道路を持つ政府系の日本高速道路保有・債務返済機構の
債務のうち3兆円を国が肩代わりし、同機構と高速道路各社はそれをもとに割引をしている。つまり国民負担に基づいており、それをみだりに
道路建設に転用してよいはずがない。
料金割引の圧縮で浮く財源のうち外環道など重要案件に回す分を除いて同機構などは国に返すべきだ。
また政府は6月ごろから首都高速と阪神高速を除いた全国の高速道路延長の約2割について料金を無料にする。しかし無料化する道路も
細切れの区間ばかりで、1000億円という予算額に見合う経済効果があるとは思えない。
国の財政がこれだけ厳しい時に、選挙対策から再び道路建設を推進し人々の歓心を買おうとするのは「コンクリートから人へ」という政権の
理念にも反する乱暴な政策である。
ソース(日本経済新聞・社説)
URLリンク(www.nikkei.com)