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★トヨタ問題、コンピューターは万能ではない?
原文タイトル:Toyota: Computer-Addled Design?
原文掲載サイト:www.forbes.com
著者名:Joann Muller
原文公開日時:2010年2月10日
コンピューターで設計された自動車は、現実の世界でいつも期待通りに動くとは限らない。
トヨタ自動車のディーラーは、アクセルの不具合でリコールとなった
230万台の自動車の修理を開始したが、ある疑問が頭から離れない。
エンジニアが設計を行う過程で、今回の問題で根本的な原因と特定された
ペダルアセンブリーに過度な摩擦が発生する可能性を、なぜ見逃したのだろうか。
ひとつ考えられるのは、多くの自動車メーカーや航空機メーカーなどが
設計や試作に利用しているシミュレーション・ソフトは、それをプログラムした人間以上に賢くはないということだ。
自動車メーカーは現在、コスト節減と開発期間の短縮のため、試作品をいくつも作ることはせずに、
CAD(コンピューターによる設計)を使ってバーチャルに車を設計する。]
トヨタも他の自動車メーカーと同じように、フランスのDassault Systemes社が開発した3次元CADソフト「CATIA」に頼っている。
こうしたいわゆるプロダクト・ライフサイクル・マネジメント(PLM)ソフトウェアによって、
エンジニアは様々な部品の設計やその動き、製造方法などをシミュレートできる。
理論的には、バーチャルテストによって、二つの部品が接触して摩擦が生じるといった問題を検出できるはずだ。
だがPLMソフトウェアは、エンジニアが設定した範囲内でしか問題を検出することができない。
こう指摘するのは、マサチューセッツ州ケンブリッジの調査会社DaratechのCEO(最高経営責任者)、Charles Foundyller氏だ。
「モデルを作るのは人間なのです」とFoundyller氏は言う。
「モデルの作成者が性能に影響を与えるすべてのファクターを考慮していなかったり、
周囲の状況を完全に理解していなかったりすると、その人の作ったモデルは不完全なものになります」
Foundyller氏はBMWの例を挙げる。以前BMWのある車種で、ブレーキ時に異音が発生する問題が確認された。
コンピューターによる設計段階でエンジニアは、ブレーキディスクの回転方向の振動のみを探知するように
ソフトウェアを設定していた。Foundyller氏によると、「実は、異音はディスクが回転方向と直角の方向に
振動することで起きていました。だからシミュレーションでは絶対に発見できなかったのです」
トヨタのアクセルペダルでも、同じことが起こっていた可能性がある。
トヨタにペダルを供給しているインディアナ州エルクハートのCTS Corp社は、
トヨタの設計仕様書通りにペダルを生産したと主張する。
トヨタによると、その仕様はCATIAで設計され、実地テストが行われたとのことである。
だが、現実の世界では結露によって発生するペダルの摩擦を、バーチャルの世界で
シミュレーションによって検出することは、トヨタのエンジニアがあらかじめ
その可能性を考慮していない限り無理だっただろうとFoundyller氏は言う。
「明らかにどこかで誤り、間違った結果となったのでしょう」
トヨタの佐々木真一副社長(品質保証担当)は日本で行った記者会見で、
「様々な状況下で、自動車内部でそれぞれの部品が全体としてどのように動作するか」、
またそれがどのようにしてシステム障害を引き起こしうるかといった点に、
十分に注意を払ってこなかった可能性があると述べた。
Dassault Systemes社はコメントを拒否したが、PLMソフトウェアのサプライヤー2社が
明かしたところによると、システム工学におけるこのような問題は、
まさにシミュレーションによって検出されるはずのものだという。
しかし物理的なテストを模したコンピューターモデルは、経験豊かなエンジニアが
起こりうると考えたシナリオにのみ基づいて作られている。(続く)
Forbes.com URLリンク(www.nikkeibp.co.jp)
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