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オランダ、カメルーン、デンマークとのグループリーグを勝ち抜くのは、率直に言って厳しい。
ブラジル人に聞いても、イタリア人に聞いても、「オランダが1位通過で、カメルーンとデンマークが2位を争う」
と答えるはずだ。アルゼンチン人もドイツ人も、イギリス人もフランス人もきっと同じだろう。情報が少ないために
日本が軽視されているところはあるが、過去の実績から判断すれば着地点はおのずと決まってくる。
グループリーグ突破が厳しいのは、日本のサッカーファンだって分かっている。
メディアも同様だ。根拠もないまま煽るのは無責任というものだろう。結果的に、ファンもメディアも、
過度の期待をしてはいけないという自制心を働かせていると思う。期待が大きければ、
敗戦に直面した際の失望も深くなる。W杯に多くを望まない代わりに、痛みを和らげたいという雰囲気が
醸成され、代表から少し距離を置くようなスタンスになっているのではないだろうか。
僕自身も「客観性」や「冷静さ」という言葉を理由にして、期待感にブレーキをかけているところがある。
これまでテストマッチで対戦した国の監督は─たとえば、02年の日韓W杯でのセネガルを
強へ導いたブルーノ・メツであり、86年のメキシコW杯で4強入りを果たしたベルギーの
フランキー・ヴェルコーテルン前監督らは、日本代表の志の高さを評価しながらも、現実を見つめる大切さを指摘していた。
ただ、希望は捨てたくないし、期待を持ってW杯を迎えたい気持ちは間違いなくある。
「ベスト4進出」という岡田武史監督の目標は、結果という根拠がまだ薄いものの、
目ざすサッカーの方向性は正しいと僕は考える。南米スタイルでも欧州スタイルでもない
日本人らしいサッカーで成果をあげようとするのは、4大会連続の出場で初めてだからだ。
周囲から寄せられる期待は、選手にとってモチベーションになり、プレッシャーにもなる。
プレッシャーにしても、必ずしも排除すべきものではない。成長を促す栄養剤としての効果が見込めるからだ。
ライバルチームの動向にことさら神経を尖らせる必要はないが、日本代表を見つめる視線には「熱」がほしい。