09/10/13 02:25:29
鳩山由紀夫首相が新政府税調に諮問した道路特定財源の暫定税率廃止が実施された場合、
石川県は県税と国からの補助金を合わせて100億円超の財源を失う。
県財政は深刻な打撃を受け、満足な予算が組めなくなるだろう。
暫定税率の廃止は民主党マニフェスト(政権公約)の目玉として掲げた政策であり、
何が何でも実現したい気持ちは分かるが、地方の減収分を補う新たな知恵が求められる。
08年度の石川県の県税収入は前年度比4・3%減の1570億5587万円で、
5年ぶりのマイナスに転じた。不況が深刻化した09年度は、さらなる減収が避けられない。
こんな状況で、国がドラスティックに制度を変えれば、地方はますます疲弊する。
暫定税率は全廃でなく、少なくとも地方分は残すという選択肢もあるのではないか。
暫定税率は昨年3月末に期限切れを迎え、衆参がねじれ状態の国会で、
10年間の維持・延長を目指す政府・与党と、撤廃を掲げる民主党の主張が対立し、
一時失効した。
このときは、失効期間が1カ月だけで、国が失効に伴う減収分を補てんしたため、
予算上の問題は生じなかった。
しかし、全面廃止となれば、影響は計り知れない。
昨年4月当時の県の試算では、県税収入は年間で72億円の減収となり、
さらに国税である揮発油税などから県に入る補助金104億円についても55億円が減る。
国が何も手当しなければ、その分の歳出見直しを迫られることになる。
暫定税率が廃止されると、ガソリン価格が1リットル当たり約25円安くなる。
車は地方では「日常生活の足」であり、家計にも企業にもありがたい「減税」だ。
今後、原油価格がじわじわと値上がりしていく可能性があり、
廃止を求める声は高まるばかりだろう。
しかし、廃止によって国1兆7000億円、地方9000億円の計2兆6000億円の税収に穴が開く。
温室効果ガス排出を2020年までに1990年比25%削減する鳩山政権の
「国際公約」との整合性の問題を含めて、国民が納得いく解決策を提示してほしい。
きょうの社説 2009年10月12日
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