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宮沢喜一内閣のときに、アジア太平洋問題に関する首相の諮問委員会が設置された。最初のゲストスピーカーを務めたのが、
比較文明学者の梅棹忠夫さんだった。「日本が大陸アジアと付き合ってろくなことはない、というのが私の今日の結論です」。
▼委員の一人だった渡辺利夫拓殖大学学長によると、冒頭の言葉に参加者一同はあっけにとられた。梅棹さんが、『文明の
生態史観』を発表したのは昭和32年だった。ユーラシア各地での現地調査を踏まえて、日本と西ヨーロッパにだけ、高度な文明
が発達した理由を説明して大反響を呼んだ。
▼南北アメリカなどをのぞいた旧世界を、西ヨーロッパと日本が属する第一地域と、破壊と征服の歴史が続いた、それ以外の
第二地域にわけたのが、独創的だった。古典的名著を、今読み返しても、暴力の連鎖が止まらないアフガニスタン情勢や、独裁
体制のまま超大国化しつつある中国の姿を、半世紀以上前から見通していたことに驚く。
▼この梅棹史観からすれば、岡田克也外相が7日に日本外国特派員協会で行った講演は、国家の行方を危うくするような
内容だった。村山談話について「言葉より行動」とは、何をしようというのか。
▼いくら謝罪を重ねて、「東アジア共同体」をもちかけても、しょせん中国は、日本とは水と油ほど違う文明をもつ国なのだ。まして、
韓国を含めて、共通教科書を作るなどナンセンスとしかいいようがない。
▼梅棹さんは65歳のときに失明したが、89歳の今も健在だ。渡辺さんや、「海洋史観」によって日本と西ヨーロッパの近代化を
論じた川勝平太静岡県知事など、梅棹史観に影響を受けた学者も数知れない。だれか、民主党の暴走を諫(いさ)める人は
いないのか。
ソース(MSN産経ニュース、産経抄) URLリンク(sankei.jp.msn.com)