09/10/01 14:05:29
部屋に足を踏み入れた捜査員が目にしたものは、無造作に転がる28本もの注射器だった。そして、白い粉が付着したポリ袋。
東京都渋谷区笹塚の閑静な住宅街に佇むマンションの一室。部屋の借主は中山常之という26歳の男だが、中山はその時、警視庁で
厳しい取り調べを受けていた。
発見された白い粉は、覚醒剤。中山は、自宅で友人に覚醒剤と注射器を渡したとして、9月4日に覚せい剤取締法違反(譲渡)の疑い
で逮捕されていたのだ。
部屋には中山の名刺があり、こう記されていた。
<ピーター パーソナルマネジャー>
ピーターとは、歌手のピーターこと池畑慎之介(57)である。中山とピーターの関係は、所属事務所の関係者によれば、
「約5年前にピーターの舞台を手伝ったことをきっかけに、ピーターが個人的に雇っていただけ。付き人のようなもので、事務所の社員
ではない」
押尾学や酒井法子の事件が世間の耳目を集め、芸能界の薬物汚染が問題となっていた折も折である。ピーターは事態を重くみて、
謝罪のコメントを発表すると同時に、自ら事務所を退社。一時、活動を休止した。
■7人の男
中山逮捕のきっかけは、覚醒剤を渡した友人が警視庁に逮捕されたことだった。この友人が、「中山から貰った」と供述したのだ。
警視庁はそこに至るまでに、5人を芋ヅル式に逮捕している。
「5ヵ月前、警視庁は園田凌士という作詞家の男を、覚せい剤取締法違反(使用)の容疑で逮捕しています。園田の供述により
譲渡先や入手先が明らかとなり、それを捕らえるとまた1人…と、合計7人の男の存在が明らかになったのです」(社会部記者)
7人全員が互いに面識があったわけではない。7人のうちの誰かが覚醒剤を入手すれば、譲渡に譲渡を繰り返し、必要とする人間の
手に渡っていたのだ。
誰か1人が白状すれば、すぐに明らかになる関係。園田を端緒に次々と逮捕され、6番目の逮捕者が中山の友人。次が中山だった
というわけだ。
通常、覚醒剤を入手するには多額の金が必要となるが、彼らの間には金銭のやり取りが一切なかった。なぜか。捜査関係者が明かす。
「彼らは営利目的で覚醒剤をやり取りしていたわけではありません。逮捕者が全員、男というのがキーワード。簡単に言うと、覚醒剤を
男同士の“お楽しみ”目的で使っていたのですよ」
中山は、「注射器と袋に入った粉は渡したが、覚醒剤とは知らなかった」と容疑を否認している。
だが、警察は目下、次なる「男」の存在について厳しく追及を続けている。
ソース(週刊新潮 10/8号 129ページ)