09/09/16 23:09:50
ワイシャツだけを身に纏い、浴室の床に仰向けに倒れていた。腹や背中には、無数の刺し傷や切り傷。そして、周囲にバラ撒かれた
コーヒーの粉―。
最初から、ミステリーじみていた。
大阪市浪速区戎本町(えびすほんまち)のマンションの一室で、ミイラ化した遺体が発見されたのは9月4日のことだった。
マンション保証会社の社員が、4ヵ月も家賃が滞納されていることを不審に思い部屋を訪ねたのである。
捜査関係者の話。
「遺体は死後1週間以上も経過していました。一般に、コーヒーの粉には消臭効果があるといわれています。そのせいか、腐敗した遺体は
さほど異臭を放たなかったようです。結果、マンションの住民は異変に気付かず、発見に時間がかかってしまったのです」
実は今回、遺体の性別の判断に通常の倍以上の時間を要している。遺体の腐敗が進んでいたことが要因のひとつだが、それだけではない。
遺体は、胸の膨らみがあったものの、生物学上、女性にあるべきものも、かといって男性にあるべきものも、なかったからだ。
警察は捜査の際、マンションの住民に派手な化粧をし、妖艶な笑みを湛える女の写真を示している。
ある住民には心当たりがあり、捜査員にこう言った。「このお姉ちゃん、知っとるで。綺麗やしスタイルもええから目立ってたもん」
それに対して捜査員は、「事件のあった部屋に住んでた人やねん」と応じている。遺体は女性だったのか。いや違う。司法解剖の結果、
遺体は“男性”と判明したのだ。
遺体の身元は、不動産会社に勤務する広田敦さん(34)。先のマンションの住民は、「あのお姉ちゃん、男の格好なんかしたことないで」
と驚きを隠さない。
■そういう関係
広田さんは、部屋の名義上の賃借人ではなかった。実質的に部屋を借り、家賃を払っていたのは、奈良県生駒市門前町に住む無職の
焼田具明(44)。焼田は警察の取り調べに対し、「広田さんとは、不動産関係の仕事で知り合った。私が殺し、遺棄した」と供述。8日、
焼田は死体遺棄容疑で逮捕された。
部屋の家賃は月7万円強。決して安い額ではない。なぜ焼田は広田さんに部屋をあてがっていたのか。
その謎を、先の捜査関係者が解く。
「広田さんには、手術をした傷跡がありました。いわゆる、ニューハーフだったんですよ。広田さんも焼田も、ミナミにあるニューハーフパブに
出入りしていたということです。まぁ、2人はそういう関係。つまり、焼田は広田さんを囲っていたのです」
同棲はしていなかった。その理由を、焼田の友人が明かす。
「焼田は結婚しているのです。高校生の女の子が1人と、小学生の男の子が2人の、3人の子供がいます。奥さんとは学生時代に
知り合ったとか」
焼田は大学を卒業後、大手銀行に就職。外資系保険会社に転職をした後、さらに不動産関係の職に就くが、すぐに辞めてしまい、
以降無職。夫人がスーパーのパートと清掃員を掛け持ちして、生計を立てていたそうだ。
ところが今年の3月、夫人は子供を連れて家を出てしまう。
「焼田が通販で女性の服を購入したり、香水の匂いをプンプンさせたりということがここ2年ほど続き、奥さんが愛想を尽かしたのです」(同)
件のマンションで焼田の姿がよく見かけられるようになったのは、その別居の頃から。だが、「お姉ちゃんの部屋には複数の男が出入りしとったで」
(住民)ということだ。
「他のオトコと寝たからや…」
焼田はポツリポツリと動機を語り始めている。
ソース(週刊新潮 9/24 38ページ)
参考:腹に刺し傷、遺体にコーヒーの粉 大阪の男性変死
URLリンク(www.asahi.com)