09/08/31 23:56:17
(※抜粋です。全文はソース元でどうぞ)
今回は、「祭り」について考えてみたい。
リアルな「祭り」ではない。三社祭やYOSAKOI騒乱もそれはそれで面白い題材だが、私が俎上に上げたいと思っているのは、インターネット上に
設置された匿名の巨大掲示板である2ちゃんねるの「祭り」だ。
2ちゃんねるでは、たとえば、どこかの誰かが問題発言をしたり、社会的に注目度の高い事件が起こったりすると、その話題についてのスレッドは
「祭り」状態になり、一日か二日のうちに10スレ、20スレとスレッド数を重ねることになる。
「祭り」は、珍しい現象ではない。
が、選挙を間近に控えて、掲示板の様子は違ってきていた。
具体的に言うと、掲示板自体が、政治的なプロパガンダの場に変貌していたのである。
で、「祭り」の様相も、「デモ」や「街宣」に近い、キナ臭いものになっていた。
こんな短期間のうちに、これほど露骨な変化が起こったのは、おそらく2ちゃんねるの歴史の中でははじめてのことだと思う。
たとえば、投票1週間前の「ニュース速報+」板は、自民党支持の2ちゃんねらーと、民主党支持の2ちゃんねらーが双方の党首や候補者や
政策を攻撃するためのスレッドが乱立して、板自体が落ちる(←書き込みの総量が一定の限界を超えて、負担に耐えかねたサーバがダウンする
現象)ことさえあった。 新聞の見出しの大きさに比例している。
ちなみに「ニュース速報+」における「+」(プラス)の意味は、「この板は、キャップ(資格)を持った『記者』と呼ばれる人間だけがスレッドを立てる
権利を持っている板だ」ということ。資格制を持ち込むことで、些末なスレッドが立つことや、板全体がスレ立て合戦に陥るリスクを避けるということ
なのだそうだ。
とはいえ「記者」も、色々だ。ある記者には「特定の思想や立場を推進することを旨とした工作員」なのではないかという疑惑がつきまとっているし、
別の記者は「一人の人間ではなくて、一つの記者名を何人かのグループが共同運営している」と噂されている。事態は単純ではない。
とにかく、+の記号が付加された板には、ある程度の公共性がある、ということらしい。
私個人は半分ぐらいしか信用していないが。
で、その「ニュース速報+」の板が、この半月ほど、えらく荒れていたわけです。
通常の状態では、政治の話題は、全体の3分の1にも満たないのだが、ここしばらくは、ざっと見て政治ネタが3分の2を占有していた。しかも、
そのスレッドが、いちいち祭り状態にあって、消費が異常に速かった。
* * *
あるいは、麻生さんは、ここのところを読み違えたのかもしれない。
「ほら、若い人たちは、こんなにオレを支持してくれている」と。確かにアキバでの街頭演説や、ネット上の調査結果を見ていると、新聞の世論
調査の方がむしろバイアスのかかったインチキに見えてきたりするわけだから。
ほかにも、ネット上のアンケートは、安部元首相や石原慎太郎氏など、特定アジア(←ネット右翼が考案したとされる言葉。アジア諸国の中で、
特に反日的な特徴を備える極東の三国、韓国・北朝鮮・中国を指す)に対して強硬な態度を示す人物に対して、一貫して好意的な反応を
示すことになっている。
リアルな世界では、一人の人間の叫びは、一人分の声にしかならない。
が、インターネットの世界では、一人の男が10万回クリックすることで、10万人分の怒号を演出することができる。
と、10万の怒号がスクロールする画面を見た情報弱者はこう思う。
「おい、大変なことが起こっているぞ」と。
違うのだよ麻生さん。ネトウヨは数が多いのではない。クリックの頻度が高いだけだ。つまりただのパラノイアだ。
匿名のパラノイア。そんな支持を真に受けたのがたぶんあなたの失敗だった。自業自得。
ソース(日経ビジネス・小田嶋 隆氏) URLリンク(business.nikkeibp.co.jp)