09/08/19 22:58:56
フランス人は日本のポップカルチャーが好き
◆フランスのアニメ・マンガ事情レポート 小幡公春
去る7月2日~4日、フランスのパリ郊外で開催されたジャパンエキスポに行ってきた。
ジャパンエキスポは、アニメやマンガ、ゲームなどのポップカルチャーから、武道や華道、茶道などの伝統文化まで、幅広く
日本を紹介するイベントで、今年の開催で記念すべき10回目となった。
4日間で、何と14万人以上が集ったそうだが、日本文化へのフランス人の関心の強さが伺われる。と言っても、来訪者の大
半は日本の文化全般というよりもアニメやマンガに触れることがお目当てで、2割近くの来訪者がアニメやマンガのキャラクタ
ーの格好をして来る。所謂、コスプレーヤーだ。
私自身は、私が講師をしているバンタン電影アニメマンガ学院のブースで、アニメ作画のデモンストレーションをするために
参加したのだが、その合間を縫って、フランスで日本のマンガやDVDを販売をする会社のTOPクラスの方へのインタビュー
を試みたり、現地に暮らす日本人から生の声を採取するなどして、フランスのアニメ・マンガ事情を調査してきた。
日本で人気の作品が、そのままフランスでもブレークしていると思いきや、そう単純ではなく、今日の隆盛の影には様々な
紆余曲折、丁々発止があり、更には日本のポップカルチャーを愛し、自国に紹介するために汗を流してきた人たちのドラマ
があったのだ。
-日本のアニメ・マンガ、受け入れの経緯-
そもそも日本のアニメ、マンガがフランスで受け入れられたきっかけは、1978年、永井豪原作、東映動画(現、東映アニメ
ーション)制作のTVアニメ「UFOロボ・グレンダイザ-」がブレークしたのが発端だった。現地では「ゴルドラック」というタイト
ルだったそうだが、その放映時間には外で遊ぶ子供がいなくなるほどの人気番組となり、以降、日本のアニメは怒涛のごと
くフランスに流入していった。
日本のアニメに対して大人世代からは、暴力的だとか、倫理的に問題があるとか、批判的な意見が多くあったようだが、
子供たちの圧倒的な支持はそれらを駆逐するに余りあった。しかし、90年代に入り、アニメ「キン肉マン」に登場したブロッケ
ンJrというキャラクターがナチスドイツをモチーフにしていたことが問題となり、一気に日本のアニメの排除が行われた。
日本アニメ、空白の10年の始まりである。
この間に、フランスのアニメファンたちは日本語のマンガを入手して読むようになり、その流れを受けてフランスの出版社が
日本のマンガを輸入し、翻訳して販売するようになった。
はじめはヨーロッパ式に左読みにする為、絵を反転していたが、91年、日本式の右読みで「ドラゴンボール」が出版され大
成功を収めたのをきっかけに右読みが定着。日本のマンガはあっと言う間に市場を拡大し、フランスはヨーロッパ最大の日
本マンガ市場になって今に至っている。
90年代中には、アニメに対して起こったバッシング同様の非難が日本のマンガに対しても起こったが、その背景にはフラン
スのマンガが駆逐されるのではないかと恐れるフランスのマンガ出版社からの働きかけもあったようだ。
フランスには「バンドデシネ(通称BD)」と呼ばれるアートマンガがあり、フランス人はこれを誇りにしている。BDはカラーが主
体で、ストーリーよりも絵が重視される形態なので、ドラマ性の強い日本のマンガはそれとは住み分けた形でフランス人の心
を掴み、ヒットを勝ち取ったと言える。
(>>2-4辺りへ続く)
■ソース:IBTimes(アイビータイムズ) 2009年08月19日 16:44更新
URLリンク(jp.ibtimes.com)