09/08/17 01:00:15
終電間際の銀座駅。髪を結った色っぽい女性が多く乗り込んでくる。どこか華やぎを持つその風情は、電車内の大勢を占めているサラリーマン
やOLたちとは一線を画し、車内の空気を一瞬にして変えてしまう。
夜の銀座に800店あるとも言われるクラブもバタバタと倒れて姿を消していく中で、生き残り組が経費節減のために電車で帰宅しているからだという。
客足も遠のき、店が終わってからの同伴のアフターも減った。電車通勤はホステスさんなりに、考えたささやかな経費削減のサバイバル術でもある。
しかし、そんな銀座でも勝ち組はいる。しかも、それが健常者ではなく、耳が聞こえないために通常の会話ができない人だとしたら。そんなことが
信じられるだろうか? そう、自身の半生を描いた著書「筆談ホステス」がたちまちベストセラーとなった斉藤里恵さん(25)だ。
里恵さんは美形で、にこやかな笑顔が似合う小柄な女性。コミュニケーションを取るために、声を発することはできない。常にメモとペンを携帯している。
里恵さんにとって、この2点セットを「相方」と呼べる存在だ。相手のセリフが書かれたメモと唇の動きを読みながら、メモに筆記して返す。会話のすべて
が筆談だ。
ゆかしメディアのキャリア豊富な編集陣の中でも、筆談の取材を経験した者は皆無であった。しかも健常者ではない人が銀座のホステスになった
という話を聞いた者も皆無。だが、今回取材するうちに銀座ナンバー1という看板はダテではないということがよく判った。
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■文字が心を揺さぶる
「筆談ですと、会話とはまた違った楽しみ方がありますし、文章や言葉によって気持ちもより伝えられることもありますし、文章や言葉によって
気持ちもより伝えられることもあります」(以下セリフはすべて筆談)
里恵さんはそう答えたが、果たして本当だろうか。半信半疑に思う人も多いかもしれないが、実際にお互いの紙を見せ合うことで、まず段々と
2人の物理的な距離は近くなるのを感じる。そうするうちに、お互いの心の距離感も縮まっていくのではないだろうか。
「いつも健常者の方は声を出して会話しているので、筆談が新鮮でドキドキされる方もいました。ラブレターみたいだと…。また、すてきな言葉を
書いていただくこともありますよ」
会話は他人にも聞こえることはあるかもしれないが、筆談は当人同士にしかわからない。ここで秘密の会話が成り立っているのだ。2人だけの
秘密を共有する楽しさ。どうしてもワンテンポ空くために動きがないように感じるが、実際に心は「もっと、もっと」と筆談による会話を欲してしまう。
ある日の接客で、こんなこともあった。「辛い」とこぼす不動産会社役員の「辛」というメモに、横線を一本足して「幸」として「辛いのは幸せになる
途中ですよ」とのメッセージを送った。男性の目からは涙がこぼれ落ちて、来店時には深刻だった表情も帰る時には笑顔になっていたという。
こんな言葉を口にするなんて、と少し躊躇するような恥ずかしいセリフも筆談なら臆面なく書ける。「『辛』に『一』を足すと幸せになりますよ」。
■他に行く所がなかった
水商売の世界に入るきっかけは18歳の時。故郷の青森県で、高校中退後に職を探すのは容易ではなかった。元々、洋服店でアルバイトを
した経験もあることから接客業が好きで、就職先にエステサロンを選んだ。しかし、そこでは客にどんどん高いコースを契約させてローンを支払い
続けるというシステムに、里恵さんはすっかり嫌気が差してしまった。
「仕事探しをしたところ、耳が不自由ということでなかなか見つからず、あるママさんに『働かない?』と声をかけられて、ほかに仕事もなく選ぶこと
もできず、思い切ってチャレンジすることになりました」
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ソース(MSNマネー・ゆかしメディア) URLリンク(money.jp.msn.com)