09/08/13 13:31:39
引きこもりの若者の自宅を根気よく訪問し、再出発をサポートする「レンタルお姉さん」。
NPO法人ニュースタート事務局(千葉県浦安市)のその活動が十二年目に入った。
メール全盛のご時世に、手紙・電話・訪問という方法で五百人以上の社会復帰を実現している。 (服部利崇)
「私、ダイエット始めたんですけど、○○さんは何か運動していますか」
引きこもり五年の都内の二十代男性宅。「お姉さん」歴二年半の大栗彩子さん(30)が、柔らかな笑顔で問い掛ける。
しかし男性は無反応。無言のまま、大栗さんが買ってきたスナック菓子を口に放り込み始めた。
男性の趣味に合わせ、大栗さんは「ゲーム、今度一緒にやりましょうよ」と誘ったが、男性は「絶対に嫌だ」と不機嫌に。
重苦しい雰囲気のなか、男性は突然立ち上がり、「調子が悪い」。障子をピシャリと閉め二階の自室に消えた。
二週に一度、この男性宅へ通い始めて一年。今回は「一時間は話したい」と意気込んだが、
結局いつもと同じ三十分程度しかもたなかった。「正直、へこみます。言葉では拒絶しても彼も何とかしたいと思っているはず。
社会への一歩を踏み出せるよう、私は“おせっかい”を続けます」
ニュースタート事務局の専任のレンタルお姉さんは現在五人。「お兄さん」も三人いる。
八人全員が二十~三十代で引きこもりの経験者も。引きこもりの家庭内暴力などがひどくなり、
家族での対応に限界を感じた親から、依頼される場合が多い。レンタルお姉さん第一号の橋爪久実さん(37)は
「一流大学、一流企業に入った方が偉いという親の価値観に染められた若者が、期待に応えようと頑張ったが途中で力尽き、
『ダメ人間』と思い込まされ、引きこもる。今も昔も引きこもりの背景はそんなパターンが多い」と解説する。
レンタルお姉さん・お兄さんは年平均七十~八十人の若者とかかわる。活動資金は両親など
依頼者が出す三カ月ごと三十万円の支援金でまかなわれる。レンタル先は全国各地。期間一年を目安に、
まず手紙で接触し、電話、訪問と手順を踏んで関係を築いていく。うち解けると、買い物やレジャーに誘って、
外の空気に慣れさせる。学校に通ったり、事務局が運営する寮に入ったり、自発的に家の外に出られるようになれば、
レンタルお姉さんの役目は終了だ。
やさしく寄り添いつつ、ときに厳しい言葉も。元引きこもりの男性(32)は「勇気がなくて外へ出るのを拒んでいたら、
『家にいたままじゃ変わらない』と一喝された。親身な愛情があったから社会復帰できた」と感謝する。(つづく)
中日新聞
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