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法務省は17日午前、殺人など人の命を奪う重大な犯罪について、死刑にあたるなど特に重い罪については
公訴時効を廃止し、それ以外の罪についても時効期間を延長する方向で見直すべきだとする同省の勉強会の
最終報告を発表した。
時効撤廃を強く求める被害者・遺族の要望に応えた形で、実現すれば刑事政策の大転換となる。早ければ
今秋の法制審議会に刑事訴訟法の改正などを諮問する考えだ。
公訴時効は、犯罪が起きてからある一定の期間を過ぎれば、起訴ができなくなる制度で、殺人など「死刑に
当たる罪」では25年が時効期間。
最終報告書は、国民からの意見募集、被害者団体からの意見聴取などの結果、「刑事責任の追及に期限を
設けるべきではなく、事案の真相をできる限り明らかにすべきだという国民の意識が高まっている」との認識を
示した。その上で、見直しの方向性として「人の生命を奪った殺人罪などの重大生命侵害犯について、その中
で特に法定刑の重い罪の公訴時効を廃止し、それ以外の罪についても公訴時効期間を延長する方向で見直
すのが相当」と明記した。
公訴時効撤廃により生じる捜査体制の維持や捜査資料の保管などの問題は「どのように対処すべきか十分
な検討を要する」とした。
また見直し策を、すでに時効が進行している事件にも適用するかどうかに関しては「憲法上は許されると考え
られるが、さらに慎重に検討する必要がある」として結論を出さなかった。
同省の勉強会が4月にまとめた中間報告は時効の見直し策について、〈1〉廃止〈2〉期間延長〈3〉DNAを基に
被告人を氏名不詳のまま起訴する制度〈4〉検察官が裁判所に停止を請求できる制度―の4案を提起。
最終報告では、廃止と期間延長以外については「国民の要請に十分応えることはできない」とした。
時効見直しを巡っては、殺人事件の被害者団体などから時効撤廃を求める声が強まったことを受けて、
1月に森法相をトップとする省内勉強会を設置して、見直しの方向性を検討していた。
(2009年7月17日11時20分 読売新聞)
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