09/01/25 14:27:23
二〇〇六年、県北で起きた強姦事件で、被害女性が告訴を取り消そうとしていたにもかかわらず宇都宮地検の検察官が起訴、
宇都宮地裁は先月、判決公判の中で「告訴人の意思を踏みにじり親告罪の起訴として不相当。強く反省を求める」と異例の勧告を
していたことが、二十四日までに分かった。被害者の真意をくみ取ることよりも、凶悪事件の処理に固執した検察側の判断を
「勇み足」と指摘、事件捜査の在り方に一石を投じた。
実刑判決を受けたのは那須塩原市、運転手の男性被告(33)。判決によると〇六年八月、県北の女性宅に侵入、女性を乱暴した。
昨年七月八日、強姦容疑などで逮捕された。
▽警官通じ説得
発生直後、女性の処罰感情は強かったが、弁護士らに勧められ示談と告訴取り消しを決めた。被告の弁護人から示談の予定を
聞いた検察官は同二十四日、管轄署の男性警部補に「起訴するのに示談はまずい。きょうは示談しないよう連絡してほしい」と依頼した。
その後、警部補の数度の要請に対し、女性は告訴取り消しの意思を伝え、応じなかった。しかし、やりとりの中で、電話を替わった
交際相手の男性が「分かりました」と答え、警部補は女性側が要請に応じた、と考えた。これを受け、検察官は勾留期間が残っていた
にもかかわらず同日、起訴した。
▽異様な展開に
弁護側は起訴事実をほぼ認めたが、起訴そのものの違法性を主張、公訴棄却を求めた。弁護側の証人で被害女性が出廷、被告に有利な
証言をする異様な裁判となった。
池本寿美子裁判長は「必要な捜査を遂げていても、示談の推移を見極めた上で起訴すべきだ」とし、説得は「被害者の自由な意思決定を
妨げかねない行為」と指弾。一方「被害者が明確に拒否の意思表示をしなかった事情もありやむを得ない」と違法性は認めず、被告を
懲役三年とした。
(>>2へ続く)
下野新聞
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