08/12/28 20:53:55
県内の市町村で唯一という女性団体の活動拠点「たかさき女性フォーラム」(高崎市成田町)の解体
問題で、二千五百人以上の反対請願を市議会に提出した市民団体側と、老朽化した施設を所有する高崎市の
溝が深まっている。歴史的評価につながる戦前の建築時期をめぐり、双方が異なる見解を主張。市が
提案する代替施設でも見解はかみ合わず、市の対応が注目されている。
■性差別の解消
施設は木造二階建てのフランス風瓦ぶきで、外壁は引っかき跡を付けた「スクラッチタイル」という
独特のタイルを使用。内部は階段などが戦前のレトロ調の、洋館風なデザインとなっている。
図書館として市の文化を、婦人会館としては女性の差別解消と自立を長年支え続け、昨年度は延べ
約一万四千人の利用者を数えた。一九九五年の耐震診断では、一部鉄筋のために当面は安全との結果だった。
建築時期について、市は二〇〇四年刊行の高崎市史に「三五(昭和十)年(当時の図書館が)解体され」
との記載があり、その際に新築されたと判断。当時の住宅区分図も取り寄せ、建物の形状からも新築説を示す。
市人権男女共同参画課の桐生恵美子課長は「建物に文化財的な価値はないと考えている。耐震診断の
結果に不安が残るので取り壊したい」と説明する。
一方、市が施設の運営を委託する特定非営利活動法人(NPO法人)「たかさき女性懇話会」は、
一九六九(昭和四十四)年刊行の高崎市史に「三五年に改築」と記述されているため、建物の一定部分は
一二(大正元)年までさかのぼるとみる。
懇話会の関良江事務局長は「古い市史の見解も否定できない。仮に昭和の建築にしても、複数の建築家
などが『貴重な建物』と評価している」と訴える。
問題は、異なる市史の記述。二〇〇四年刊行の市史を執筆した元編さん委員は「一九六九年刊行の
市史に『改築』とあるのを知らなかった。意識して『解体』と書きあらためたのではない。新しい文献や
資料が出てきたわけでもなく、『解体』と記述した根拠はない」と明かした。
六九年刊行の市史を執筆した人は不明。不動産登記には、建物が登記されておらず、建築時期は謎に
包まれている。
(>>2へ続く)
東京新聞
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
画像:建物の歴史的評価も争点となっている「たかさき女性フォーラム」
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