08/12/25 10:57:24
今年の世相を表す漢字は「捨」ではないかと思っている。
いろいろな人間が、いろいろなものを捨てた1年だった。
社保庁の職員は年金記録改ざんで、社会的責任を捨てた。
大分県教委のお偉方は、教員採用と昇任試験不正で先生に対する信頼を捨てた。
角界の一部不心得者は大麻疑惑で力士の品格を捨てた。全国各地で救急搬送を
拒否した病院は患者を捨てた。ああ、そういえば、首相も政権を捨てた。忘れるところだった。
食品会社は産地偽装で消費者の信用を捨てた。大企業は急激な円高でなりふり構わず
派遣労働者を捨てた。一世を風靡(ふうび)した有名ミュージシャンは、
みごとなまでの転落人生を見せつけてファンを捨てた。
東京・秋葉原通り魔の被告は、人間性そのものを捨てた。
社会に捨てられたと思ったかどうかは知らないが、不満のはけ口が、見ず知らずの人たちに向けられたのはやるせない。
もっとも、捨ててこそ浮かぶ瀬もある。
パナソニックは、松下電器の社名とナショナルのブランド名を捨て、ワールドカンパニーになることを決意した。
柔道の石井慧選手は、金メダルを捨て格闘技の世界に飛び込んだ。
社会人野球の田沢純一投手は、日本プロ球界に進む道を捨て、メジャーへ旅立った。
ノーベル物理学賞の益川敏英教授は受賞記念講演で英語のスピーチを捨て、
堂々と日本語であいさつした。とはいっても終了後に「英語は話せるに越したことはない」と、
ご愛嬌(あいきょう)。アラフォーの女優、牧瀬里穂さんと富田靖子さんは独身を捨て、愛する家族を持ったことを公表した。
誰しも人生の折々で分かれ道に立ち、選択を迫られる。
何かを選ぶというのは、何かを捨てることでもある。
捨てることが一概に悪いわけではない。でも、みんな捨てるもの間違ってない?
この1年を振り返り、胸に手を当てて考えてみよう。【藤清隆】
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