08/11/15 06:30:58
★「麻生政権の宿命」 若松誠フジテレビ解説委員長
麻生政権の発足から2カ月を迎えようとしている。
しかし、世論調査によっては早くも、支持と不支持が逆転、閣僚の失言と辞任、
定額給付金をめぐる迷走劇、「麻生はやりぬく」と街角にはられたポスターがどうも寂しく見える。
今後、日本の実体経済がさらに悪化することが懸念されるなか永田町には今、
空虚な空気が流れている。首相官邸、霞が関もこの難局、未曾有の経済危機に
立ち向かおうという迫力、緊張感に欠けてはいないか。
霞が関の官僚と話していると、麻生政権に対する様子見の姿勢が強い。
裏を返せば、麻生政権の霞が関官僚への睨み、仕切り、求心力が弱いのだ。
私は、何もここで麻生政権の悪口を言いたいのではない。
「国民の明日への不安が増すなか、今ほど強い指導力を持った政権による
政策実現が求められているときはない」と、国民の誰しもが、考えているのではないか。
それにもかかわらず、今のこの漂流しているような状況は何なのか。
麻生首相は、街頭演説で「外交とか経済、麻生太郎が最も今、政治家の中では使える」
と指導者としての自信を示した。
麻生首相周辺によると「オレは、あの偉大な吉田茂の孫だ」との自負が強く、
「首相として、自分しかできない仕事」への並々ならぬ決意があるという。
それは、大変結構なことだと思う。
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しかし、麻生政権の宿命として、総選挙による「国民の審判」を受けない限り、
麻生内閣は本格政権になれない、麻生首相は、強い指導者として、認知されない。
なぜなら、麻生政権は、政権交代のかかった衆議院の解散・総選挙を断行し、
「直近の民意」を問うことを期待され、使命として誕生した政権だからだ。
この世界同時不況下で、「選挙をしている場合か、まず景気対策だろう」という声は強い。
私もその意見は良く理解できる。
しかし、今回の金融危機の震源地、米国はどうか。
予定通り、壮絶な長期間にわたる米大統領選を実施し、
米史上初の黒人大統領を誕生させるではないか。
この難局は、乾坤一擲(けんこんいってき)の戦い、選挙を勝ち抜き、
国民の支持を得た強い指導者でしか、乗り切れないだろう。
政局は、政治日程から見れば、年度内の解散・総選挙は困難になりつつある。
解散・総選挙を先送りすればするほど、麻生政権の宿命としてその前途は、
麻生首相の目指す「王道」ではなく、茨の道となるだろう。
産經新聞 URLリンク(sankei.jp.msn.com)