08/10/07 12:30:17
◇北大でも 協会は見直し要請
国立国会図書館(長尾真館長)が法務省の請求に基づき米兵による犯罪の裁判権に関する資料を閲覧禁止とした問題が波紋を広げている。
この措置を受けて、北海道大付属図書館も所蔵する同じ資料の利用制限を始めた。
これに対し、国会図書館も加盟する日本図書館協会(塩見昇理事長)は、閲覧制限の見直しを要請した。【臺宏士】
●300点が閲覧禁止
国会図書館が利用禁止としたのは、日本国内で罪を犯した米兵の取り扱いについて法務省が1972年に作成した「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」。
インターネット上の目録からも一時削除した。
53年以降に法務省や最高検が出した通達や解説などを掲載。中には、日本の第1次裁判権が及ばないとされる「公務」に、
通勤途中や職場での飲酒などを含むとし、その範囲が拡大していることを示す文書や、実質的に重要な事件のみ裁判権を行使するよう指示した文書が含まれていた。
米兵犯罪に慎重な検察当局の刑事裁判権の運用姿勢を示すものとして波紋を広げている。日本政府はこうした特別な扱いを公式には認めていないからだ。
法務省から今年5月27日に利用制限するよう文書で申し出があったことを受けて、6月11日に利用禁止を決めた。法務省は利用中止を求める理由について、
他国との信頼関係への影響▽捜査への支障--を挙げている。
国会図書館では内規(88年制定)で、
(1)名誉、プライバシーなどの人権を侵害することが裁判で確定した資料
(2)わいせつ物に該当することが裁判で確定した資料
(3)児童ポルノに該当することが裁判で確定した資料
(4)国などが発行した資料について当該機関が非公開とすることを決定したもの
--などについて利用制限できることを定めている。幹部でつくる「利用制限等申出資料取扱委員会」は、今回の資料は(4)に該当すると判断した。
国会図書館によると、利用制限している図書は現在、約300点に上るという。これとは別に、児童ポルノについては「児童ポルノ禁止法」の定義に照らして利用制限した図書が約120点あるという。
同じ資料を所蔵する北海道大付属図書館も9月から「当面の間」として利用を制限した。
図書館の説明によると、資料は87年に古書店から購入した。新潟県内の公共図書館から9月初め、資料についての複写依頼があった際に、
国会図書館で利用禁止となっていることを知り、検討の結果、利用禁止措置を講じたという。
加徳健三・情報サービス課長は「当面としている利用制限の期間をどうするのかなど弁護士とも相談し、なるべく早く結論を出したい」と話している。
●図書館の自由
「国会図書館の役割は、国会に対する資料・情報提供、調査機能のほかに行政の監視機能もある。
監視される法務省からの要請に基づいて閲覧を制限するようではその役割を果たしていない」。日本図書館協会・図書館の自由委員会の山家(やんべ)篤夫委員長はこう批判した。
同協会は9月10日付で、国会図書館に出した文書の中で、
(1)利用禁止措置を速やかに見直す
(2)「内規」の関係規定の見直し
--を求め、「国会図書館は適正な職務として資料を収集し、長年、自由な利用に供してきた。
作成機関(法務省)が国民の目から遮断するよう求めたことを理由に、応じることは過剰な自己規制にあたる」と指摘した。
(以下省略、ソースをご覧ください)
ソース:毎日新聞
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