08/10/04 09:51:40
★橋下知事敗訴 危うい発言戒める判決(10月4日)
大阪府知事で弁護士でもある橋下徹氏の発言を、厳しく戒める判決が言い渡された。
山口県光市の母子殺害事件をめぐり、橋下氏は知事就任前の昨年、
民放テレビ番組で「弁護団をもし許せないって思うんだったら、
一斉に懲戒請求をかけてもらいたい」と視聴者に呼びかけた。
この発言にあおられる形で、各地の弁護士会に8000件を超える懲戒請求が出された。
広島地裁は、橋下氏の発言が弁護団への名誉棄損にあたると判断し、賠償金の支払いを命じた。
明確な根拠もなしに懲戒を呼びかける発言は通らないということだろう。冷静な判決といえる。
光市母子殺害事件は、被告の元少年が一、二審で起訴事実を認め、無期懲役の判決を受けた。
今年4月の差し戻し控訴審では、一転して死刑が言い渡され、上告中だ。
無期懲役か死刑かが問われる重要な裁判である。弁護団が、弁護に全力を尽くすのは当然のことだ。
橋下氏の発言からは、この裁判の重みと弁護士の使命に対する配慮がうかがえない。軽率な発言だった。
橋下氏が、懲戒制度の趣旨を正しく理解していたのかも疑問だ。
懲戒の対象になるのは、弁護士の違法行為や品位を損なう非行だ。
橋下氏が「許せない」と言ったのは、法廷での弁護活動だ。
それを理由に懲戒を求めることは、筋が違う話ではないのか。
判決は、「弁護士は少数派の基本的人権を保護すべき使命を有する」と強調した。
そのうえで、弁護活動のあり方が多数から批判されたからといって、
「懲戒されることがあってはならない」と述べた。
弁護士の法廷での使命を明確にした判断で、傾聴に値する。
裁判で橋下氏は、「表現の自由」を根拠として、自らの発言の正当性を主張した。
しかし、テレビ発言に当たって、橋下氏が犯罪の事実関係や弁護団の主張を自ら調査し、
問題点を徹底的に洗い出した形跡は見当たらない。
懲戒請求を呼びかけながら、自ら請求を行ったわけでもない。
タレント弁護士として人気を集めていた事情を思えば、短絡的に懲戒を呼び掛けた発言には、
視聴者の扇動につながりかねない危うさがつきまとう。
橋下氏は控訴する意向を示した。その前に、弁護士としての言動を自省する必要があるのではないか。
メディアを通じて懲戒請求をあおり、数の力で自らの主張を通す-。
こうした言動は社会をゆがめる。判決はそんな社会への警鐘でもある。
北海道新聞 URLリンク(www.hokkaido-np.co.jp)
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