10/05/09 09:53:25 nw9n6rPP
「………」毛利輝元の前で、吉川広家は苦り切っていた。
「見てみて広家、この茶碗!良いものが焼けたでしょ?そうだ、これを“萩焼”と命名しよう!」
「輝元様…所領も大幅に減り、萩で新たに築城中の今、そういう道楽ごとはお慎み下され。
だいたい、あなた昔っから無駄遣いのことで…」
「な、なんだよ?!」
「ご母堂の尾崎局さまから、こんな手紙↓受け取ってるじゃないですか。」
『あき人きたり候や。たれか見候てとり候や。やくにもたたぬ物とりおき候ては、造作に候…』
(商人が来たそうだけど、誰か付き添って買い物を見てくれたの?役に立たない物を買うと、後で面倒ですよ?)
「親から叱られてることなんだから、自重して下さいよ。」
「ふ、ふーんだ!そういう広家だって…」
「?」
「ついこないだ(慶長十一年)、新庄局からこんな手紙↓もらったんですけどー。」
『ひろいへは、その身ひゃうしや(病者)ゆへ、よろづとどきまいらせ候はぬ御事のみにて候ま々、
(中略)いよ々々かたじけなくぞんじ候べく候…』
(ウチの広家ちゃん最近病気がちだから、いろいろ行き届かないことばかりでしょうけど、
(重用してもらって)ますますありがたく思っておりますのよ。)
「は、母上…」
「四十過ぎて、カーチャンから上司に口添えしてもらう男ってどうよ?」
「何ですと!」「なんだよ!」
「……………」「……………」
「…仕事、しよっか………」「はい………」
お か あ さ ん 、 あ り が と う 。