10/04/15 23:24:04 GsrICfC9
佐賀鳥栖は玉林寺の住職、金峯和尚は鍋島直茂の厚い帰依を受けていた。
その金峯が一線を退き、隠居すると聞いた直茂は、
「長年の厚き恩義、感謝のしようもござらん。せめて隠居料として知行百石、進呈しよう。」
と申し出たが金峯は、
「テメェの武功は、ワシが数珠の房を揉み切るほどに祈祷してやったからじゃろが。その恩も忘れて、
たった百石で恩人を突き放そうっちゅうんかい。恩を返す気なら、せいぜいワシに付き合えや。」
と怒り、知行を断った。
直茂はこれに応え、たびたび自邸に金峯を招き、夫人の彦鶴(陽泰院)と二人で金峯の話を聞いた。
時に話は深夜に及び、そのまま三人一緒に一つの部屋で寝ることすらあった。
ある朝、金峯が目を覚まして寝返りを打つと、そこには寝乱れた人妻の姿が!!
「ウワァァァアアアアアアアアアア!!!!!」
仰天して隣室に駆け込むと、「やあ、和尚おはよう。」そこには澄ました顔の、直茂の姿が。
実は、朝起きたらすぐに身支度を整えるのが日課の直茂、早起きしたその日は、すっかり金峯を
信頼して、金峯の横で眠る妻をそのままに起き出していたのだ。
『金峯立腹にて「以ての外」と、ねだり申され候由。』と、「葉隠」は結んでいる。