10/03/28 21:39:14 hOxsLVuk
龍造寺家の臣、土橋栄益は目障りな隆信を追放するべく他の城主達と
つるんで隆信を包囲した。城には鍋島ら家臣もいたが状況は絶望的であった。
「もはやこれまで…潔く腹を切ろう…」
隆信を始め全員が覚悟した時、敵側の将小田政光の家臣、深町埋忠が城までやって来た。
「今日は敵でも明日は味方となるのが武士の習いにござる。
こたびの事を痛ましく思い、主君や諸将とも協議いたしました。
隆信公の安全は保障いたしますゆえ、今宵のうちに城をお開きください。」
しかし隆信は埋忠の申し出を信じようとしない。
「馬鹿な、信じられぬ。騙し討ちされるくらいならここで腹を切る。」
すると再び埋忠がやって来た。
「神に誓って嘘ではござらぬ。かくなるうえは某が人質になりもうす。」
埋忠は丸腰で城に入って行った。ここに至ってようやく信用した隆信はその夜、
2百人ほどで城を出て、敵の大軍の中を女子供にいたるまで柄を切った槍を構えて
駆け抜けていった。
それから8年後、埋忠は隆信の急襲により討死した。
埋忠の死を知った隆信はその死を惜しんだという。