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伊達政宗の家臣に、脇坂治兵衛という者がいた。
大阪夏の陣の際には彼も政宗に同行し上方へ上った。
その途中、彼は信州に住む老母に会いに行った。
「もしこたびの戦で討死することがあったら、今生の別れとなります。
ですので会いに参りました」
しかし老母は治兵衛にこう言った。
「お前は伊達様に取り立てていただいて、伊達様へのご恩は本当に大きい。
こたびの戦で、必ず伊達様のお役に立って討死しなさい。
『もし討死することがあったら』などと
言うような息子に、母は会いません」
老母の叱咤にはげまされた治兵衛は、見事大阪で討死を遂げた。
戦国の終わりの日、主のために死を喜ぶ戦国武士もまた逝った、というお話。