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■髭殿VS天下の陪臣
天正17年の重陽の節句、聚楽第の拝賀の儀で、
上杉景勝と前田利家が挨拶の順番を巡って争いました。
上杉方の執政直江山城守は秀吉が天下を差配する3つの条件の
うち2つを備えると言われた器量の持ち主。彼が言います。
「当家は関東管領の家。当家こそ先でござろう」
これに前田側の見事な髭を称えた男が反論します。
利家が若い時からそばに仕えた重臣・村井又兵衛長頼です。
「殿下は小身から手柄を立てて天下を治めるまでに至った。
わが主筑前守も武功を挙げて三国の太守となり、今や少将。
それほど高い位ならば、そもそも上杉殿は本日の挨拶も無用
であろう」
これには直江も返す言葉がなく、利家が先に挨拶することにな
りました。
利家は大変喜び、屋敷に帰ると村井に酒を三献与え、その髭を
なでて言いました。
「わしが今、筑前守と呼ばれるまでになったのは、ひとえに髭
殿のおかげである」