09/04/11 17:50:53 myjAMoLZ
小河内蔵允家中の悪い話
小河内蔵允と言えば、黒田家家中でも名の知れた能臣であり、長政臨終の時は栗山大膳と共に遺言を聞き、
次代忠之の時は、鳳凰丸事件や黒田騒動でも辣腕を振るった存在なのだが、どうも自分のことには無頓着だったようで、
小河家家中のことは全て用人任せで全く口を出さなかった。
おまけに家の総取締りをする用人も、主君に負けず劣らず寛大・好人物な男で、結果家の取締りが緩んで風紀が乱れることになった。
どのくらい乱れていたのかと言うと、小姓の部屋に年増の女が出入りするわ、草履取りの下男と馬廻りの娘が密通するわ、それも最初は忍んでだが、
主君や用人が口やかましくないので堂々とやらかす始末。
これは幾らなんでもまずいんじゃないの? と、親類・知己から忠告を受けるのだが、
「そう言う事はうちの用人に言ってね」
で終わり。こうなると、小河家に仕える家来陣はますます図に乗って、黒田家家中では
「一国を差配する内蔵允も、家のことには目が行き届かぬか」
と、さかんに噂することになる。
さて、そんなある日のこと。内蔵允は用人を用人を呼び出して
「そういや、うちの連中独身が多いから、結婚相手探そうと思うんだけどどうよ?」
それを聞いて用人は一も二もなく賛成。
用人もこの乱行を止めようと四苦八苦していたから、身を固めれば行状も改まるだろうと考えた訳だ。
そしてそれから間もなく、内蔵允が出した結婚相手一覧表を見て、家中一同大騒然。
何とそこに書かれてあったのは、これまで自分達が散々乳繰り合った相手の名前がずらずらと。
実は内蔵允、家中の出来事なんかとっくに承知で、わざと気付いていない振りをしていただけだったのだが、困ったのが家中一同。
何しろ前後の思慮もなく乱痴気騒ぎしていた訳で、誰も本気で結婚したいとは考えていない。
だからと言って「俺、結婚するつもりじゃないですから」なんて言ってしまえば、殿様の命に背くわけだからか、自分だけでなく親兄弟に迷惑がかかる。
結局、家中一同、内蔵允に「二度とこんな風紀の乱れはしません」と、徹底的に詫びを入れて、ようやく許してもらった。
むやみな火遊びはしちゃ駄目よと言う、内蔵允家中の教訓でした。