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小牧長久手でのことである。
その頃水野勝成は目を病み、兜をつけず頭に鉢巻をしていた。それを見た父、忠重は
「何だお前のその姿は。兜を小便壷にでもしたか!?」と、罵る。
これに勝成「父とは言えあんまりだ!こうなったら俺は今日の合戦、真っ先に駆けて
首を取るか取られるかの二つに一つだ!」と、馬にまたがり勝手に駆け出していった。
いつも思うのだが、水野勝成のスイッチの入りかたと言うのは、どこかおかしい。
なんでそうなるのかと、さすがに忠重も驚き、大田重助と言う者に追いかけさせて戻ってくるように言ったが、
勝成、頭に血が上って聞きゃしない。さらに一族の水野喜右衛門まで追いかけてきて
とにかく戻れというのに勝成、喫と睨んで
「畳の上の諫めなら聞くこともあるでしょう!が、只今大軍の中に駆け入り巧妙せんとする時!
止まれといわれて引き返す馬鹿があるか!」
と言い捨て秀次の将、白井備後守の陣に一人で突撃。兜首を取ってしまい、あまつさえこれが、
この日の一番首の手柄になってしまった。見事罵った父を見返してしまったのだ。軍令違反だけど。
こんな男が後年「全ての士に貴賎は無い。主君と言い、家来と言うが、互いに頼み、
憐れんでこそ、世の中と言うのは成り立つものなのだよ。」などと言うようになるのだから、
人間、どうなるか分からないものなのである。