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日本の主力ロケット「H2A」の打ち上げ拠点である
宇宙航空研究開発機構の「種子島宇宙センター」(鹿児島県南種子町)で、
設備の深刻な老朽化が進んでいる。
毎年約10億円をかけて補修しているが、海に面した施設は、
塩害で急速に腐食し、対策が追いつかない。
H2Aの打ち上げは、2007年に民間移管され、本格的な商業衛星、
安全保障用の情報収集衛星などの打ち上げが控えており、
施設の老朽化は、わが国の宇宙開発を足元から揺るがしている。
01年に登場したH2A以前は、新技術開発に重点が置かれ、
10回足らずの打ち上げで新ロケットと交代された。
そのため施設も大幅に改修された。
さらに打ち上げる衛星も大半が国の技術衛星で、
打ち上げに遅れが生じても影響は少なく、
施設の老朽化問題は深刻化していなかった。
宇宙機構やH2Aの製造・打ち上げを担当する三菱重工業によると、
最も深刻なのは、ロケット組み立て棟
(高さ約80メートル。延べ床面積約4600平方メートル)。
さびついて壁に穴があき、雨水や海水が屋内に入り込む。
ロケットの電気部品は水に弱いため、点検に時間を取られ、
部品交換が必要になることもあるという。
穴から鳥やネズミが侵入し、配線をかじる被害も起きているという。
巨大な建物のため穴を特定することも難しい。
発射台でも、H2Aに燃料や高圧ガスを送る配管に穴があき、
時々ガス漏れが発生。配管を開閉する弁の矢印がさびで見えなくなり、
昨年3月には、作業員が弁を逆に回し、試験が6日間延期された。
発射台の点検塔のさびがはがれて落下し、ロケットを直撃することもあった。
H2Aは、これまで17回打ち上げられ、最近11回は連続成功し、
今後20年間は使うことになっている。
来年度には、海外から初の受注となる韓国の衛星の打ち上げも予定されている。
三菱重工技監・技師長の前村孝志さんは
「技術者が毎日点検するなど人海戦術でしのいでいる。
安定した打ち上げには、ロケットだけではなく、
施設も良い状態であることが必要」と話している。
◆種子島宇宙センター=鹿児島県種子島にある
日本最大のロケット打ち上げ施設。総面積約970万平方メートル。
1969年に開設され、人工衛星打ち上げの中心的役割を担ってきた。
青い海岸に面し、「世界一美しいロケット打ち上げ施設」とも言われる。
2007年4月以降、打ち上げは宇宙航空研究開発機構から
三菱重工業に移管された。
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