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【2010年6月10日 NASA】
NASAの火星探査車スピリットが2005年に調べた岩石層に、大量の炭酸塩が含まれていることが明らかとなった。
この炭酸塩の生成には、中性に近い環境と水が関連していると考えられており、
過去の火星が生命に適した場所であった可能性を示唆する成果となった。
2005年の後半に、スピリットは「Comanche」と名づけられた露出した岩石層をメスバウアー分光計(MB)で分析した。
NASAの火星探査車チームの一員であるDick Morris氏は、その結果が鉄を含む炭酸塩の存在を示すものではないかと考えた。
スピリットは、小型熱放射分光計(Mini-TES)やアルファ粒子・X線分光器(APXS)でも同じ岩石層を調べている。
Morris氏らの研究チームは、その後約4年の年月をかけて、これらの機器によって得られたデータを詳しく調べた。
その結果、「Comanche」に大量の炭酸塩が含まれていることが明らかになったのである。
大量の炭酸塩を含む堆積物の存在は長年予測されていたものの、これまでは目立った成果が得られていなかった。
一方、Comancheに占める炭酸塩の割合は4分の1もあり、これまでに調べられた火星の岩石に占める炭酸塩の割合に比べて10倍も多い。
また、この炭酸塩の起源には、中性に近い環境と水が関連していたという。
発見されたのはマグネシウムや鉄の炭酸塩で、酸に溶ける性質をもっている。
炭酸塩があったということはつまり、火星に存在していた水は酸性ではなかったということになる。
双子の火星探査車の主任研究員で、研究発表者の一人である米・コーネル大学のSteve Squyres氏は
「これは、探査車がもたらした重要な発見の1つです。火星の表面に露出した岩石層に、大量の炭酸塩が堆積していて、
生命にひじょうに好ましい環境が存在していた可能性が示されたのです」と話している。
(AstroArts)
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