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動いている人々の目をスキャンする高解像度カメラ
Marc Christensen教授が率いる南メソジスト大学(SMU)の電気工学チームは2009年、
米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)から資金提供を受け、新しい技術を用いたカメラを開発した。
『Panoptes』[Processing Arrays of Nyquist-limited Observations to Produce a Thin Electro-optic Sensorの略称で、
ギリシャ神話の百の目を持つ巨人の名、アルゴスの別名でもある]というこのデバイスは、複数の低解像度センサーの
画像から高解像度の画像を作成する、軽量で極薄型のカメラだ。もともとは、無人偵察機のセンサーや兵士のヘルメッ
トに搭載するための、レンズを必要としないカメラとして考案された技術だ。
1年後、国防総省はSMUにさらに160万ドルの追加資金を提供し、このカメラを、能動的照明装置や携帯可能な超小型
プロジェクターなどのデバイスに統合する新技術の開発を支援している。実現すれば、小型デバイスで捉えた画像を、
大きなサイズに拡大して表示することが可能になる。
プログラムの当初の目標は、レンズ機能を兼ねた薄型カメラを開発することだったが、今回取り組んでいる新技術は
「レンズ以上の機能を持つものだ」、とChristensen教授は取材に対して述べている。例えば洞窟や暗い領域で高品質の
3D画像が撮影できるという。
そしてもう1つ、このPanoptesを用いた新技術の開発が、生体認証の専門家であるSMUのDelores Etter教授と共同で
進められている。『Smart-Iris』というこの技術は、目の虹彩によって個人を識別する手法に応用されるものだ。
従来の虹彩認識においては、光が反射したり、光量が乏しかったり、あるいはまつ毛が邪魔になるといった問題が生じる。
また対象となる人が、立ち止まって虹彩認識用カメラに目を向けないかぎり識別ができない。
一方、Panoptesを応用したデバイスでは、アングルや動きに関係なく人の顔に照準を合わせ、その虹彩を捉えることで、
これらの問題を解消しようとしている。例えば、長い列をなして進んでいる人々を、壁面に取り付けたカメラを用いて、それ
とは気付かれずにスキャンすることも可能だ。
さらにEtter教授らのチームによって、正面から虹彩全体をスキャンせずとも、虹彩の一部画像から個人を識別可能な
アルゴリズムの開発が進んでいる。
Christensen教授は、このPanoptes技術を応用したカメラ兼プロジェクターが将来、携帯電話に組み込まれることも期待
している。例えば、本のページを写真撮影するだけで「ごく小さな活字まで」解読できたり、あるいは「20ドル札の表面を
スキャンして」偽札を検出したりといった用途に活用しうるという。
▽ ソース Wired vision
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▽ 画像
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URLリンク(img3.wiredvision.jp)
依頼を受けて立てました。