10/06/17 01:31:27 RvMkTwiV
訳しておきました。
マッコウクジラの老廃物が海面付近の二酸化炭素吸収を助けている
豪州の研究者が、マッコウクジラは豪州南の海洋へ毎年50トンの鉄分を供給し
ているという計算結果を公表した。このモデルでは、植物プランクトンが光合
成の過程において二酸化酸素を吸収する。結果、鯨の呼吸から排出される量と
同じ、40万トンの炭素が固定されたことになる。
研究者によると、この結果として鯨はより多くの食料を供給されるのだという。
植物プランクトンは海洋食物連鎖の要である。これらのプランクトンの数は
鉄分等栄養素の供給によってコントロールされている。
ここ十年ほどの間、環境学者たちは鉄分を(訳者補完:HNLC*へ)供給すること
により炭素固定量を上げる実験を行ってきた。すべての実験が成功したわけではなく、
たとえば2,008年の実験では6トンもの鉄分注入にもかかわらず二酸化炭素吸収量
の継続的増加は見られなかった(ドイツ船使用によるLohafex調査)。
40万トンの炭素といえば化石燃料燃焼による炭素放出の1万分の1だが、世界規模
においてはさらに大きな効果をもたらしていると研究者はいう。世界には大雑把に
数百頭のマッコウクジラがいると推測されており、さらにいくつかの海域において
鉄分が植物プランクトンの成長を押さえる要因となっている。よって世界規模
において、鯨の老廃物が植物プランクトンの栄養源になっている海域はいくつか
あると考えられている。
当説において重要なのは、マッコウクジラが老廃物を供給する場所において食料を
得ているわけではないということだ。(もしそうであれば、マッコウクジラは
同量の鉄分排出と吸収を繰り返していることになる)
その代わりに鯨は深海でイカなどの食料を得、排出を植物プランクトンの生息
に必要な太陽光の射す海面付近にて行う。こうした鉄分供給は鯨にとっても利益
のあることだとTrish Lavery(Flinders University in Adelaide)は語る。
植物プランクトンは動物プランクトンに食べられ、鯨などの大きな動物がそれら
を捕食することに繋がるからだ。
学者たちは、おなじ構造が「krill paradox」(小海老パラドックス)を実証
していると指摘する。南極海における小エビの現象が、これら小エビを食料とする
ヒゲクジラの年幾万頭にもおよぶ乱獲によって起こされたという現象の事だ。
*訳者注
HNLC: High Nutrient, Low Chlorophyll;
リンや窒素などの栄養素に富んでいるにもかからず植物プランクトンの少ない場所。
鉄分等のmicronutrients不足による。
Royal Society journal Proceedings B
ソース: BBC (URLリンク(news.bbc.co.uk))
マッコウクジラ:
URLリンク(news.bbcimg.co.uk)
Lohafex調査に使われたドイツ船:
URLリンク(news.bbcimg.co.uk)
訳者: URLリンク(twitter.com)