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高温の影響で植物が種子を作れなくなる高温障害を、
特定の植物ホルモンを散布して克服することに、
東北大大学院生命科学研究科の
東谷篤志教授(ゲノム継承システム)らの研究グループが成功した。
地球温暖化に伴う穀物の収量低下が懸念される中、応用により、
高温になった場合でもさまざまな作物の安定供給が期待されるという。
成果は27日、米科学アカデミー紀要電子版に掲載される予定。
一般に植物が花粉を形成する過程は、
高温や低温、乾燥などの環境負荷に弱い。
例えば小麦や大麦、トマトなどの作物は、花粉ができる時期に高温になると、
めしべの成長には影響がないものの、花粉は全く作られなくなり、
種子ができない。
ただ、この仕組みは分かっていなかった。
研究グループは大麦について、日中30度、夜間25度とした高温の場合と、
日中20度、夜間15度とした適温の場合を比較。
植物ホルモンを調べると高温の場合、おしべの先端にあるやくの部分で、
成長を促す作用がある「オーキシン」の量が顕著に少なくなっていた。
遺伝子を調べると、オーキシン合成にかかわる遺伝子の
発現が抑制されていることも確認した。
大麦は花粉形成時に5日間ほど高温になると、種子は全く実らない。
しかし、高温の日と2日後の2回、大麦に薄い濃度のオーキシンを
数ccかけると花粉が形成され、8割ほどまで種子が実るようになった。
研究グループは、双子葉植物のシロイヌナズナでも検証。
約30度の高温では花粉は形成されなかったが、
オーキシンを散布すると高温障害を免れ、種子が形成された。
オーキシンは通常、除草剤としても使われる。
散布の際は、純度の高いものを適量使う必要があるという。
小麦や大麦、トウモロコシの収量は毎年大きく減少しているとの報告もある。
東谷教授は「実験した2種類以外にも、高温に弱い系統の小麦や菜種、
トマトなどにも効果的に適用できるだろう。
仕組みは異なるが、イネの高、低温障害についても今後研究したい」と話している。
河北新報
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大麦の花粉形成時に高温にした実験で、不稔(ふねん)が現れた穂(中央)と、
オーキシンを散布した結果種子が実った穂(右)。左は適温で育てられた大麦
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東北大学>プレスリリース
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PNAS「Auxins reverse plant male sterility caused by high temperatures」
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