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かつて太古の地上を支配していたティラノサウルス・レックス(T・レックス)の小型種の
化石が南半球で発見された。「南の暴君(Southern Tyrant)」の名の通り、オーストラリアの
ビクトリア州で発掘された小型肉食恐竜の化石は、南半球で初めて発見されたT・レックスの
祖先種だ。およそ1億1000万年前の白亜紀初期に生息していたと考えられている。
体長約3メートル、体重わずか80キロと小柄ではあるが、巨大な頭部、短い前腕、頑丈なアゴなど、
T・レックスと同じ特徴を備えていたという。
白亜紀後期に最盛期を迎え、約7000万年前に絶滅するまで地上最強を誇っていたT・レックス
などの大型肉食恐竜は、このような小型のティラノサウルス類から進化した可能性が高い。
大型・小型を問わず、ティラノサウルス類の化石発見はこれまで北半球に限定されていた。
「しかし今回は遠く離れた南半球で初期の小型種が見つかった。T・レックスの祖先は定説より
広い範囲に分布していたようだ」と、イギリスにあるケンブリッジ大学の古生物学者で研究
共著者のロジャー・ベンソン氏は話す。
その理由として、かつて地球の陸塊は1つにまとまっていたが、恐竜の時代には既に分裂が
始まっていた事実を挙げることができる。「南の暴君の系統を辿れば、おそらく大陸の分裂前まで
さかのぼる。そのころ既に広い範囲に生息してはずだ」と同氏は主張する。
ではその後、小型種からT・レックスなど大型種への進化はどこで起こったのだろう。ナショナル
ジオグラフィック協会が支援する発掘調査で見つかった南の暴君の化石から、新たな問題が提起
されたとベンソン氏は話す。
南半球で大型化が進み、次第に生息域が広がったと考えることもできる。大陸の分裂が始まった
とはいえ、完全に分断するまでには長い年月がかかる。
しかし勢力拡大の時期がいつであれ、最終的に南部では衰退してしまったようだ。一時は世界を
制する勢いだったのに、その理由がわからない。
ベンソン氏はこう話す。「北半球では巨大化したティラノサウルス類が食物連鎖の頂点に君臨
したが、南半球ではなぜか存在感が薄い。この謎を解き明かす必要がある」。
今回の最新研究は、3月26日付けの「Science」誌に掲載されている。
National Geographic News(26日)
URLリンク(www.nationalgeographic.co.jp)
発見された化石(毎日新聞)
URLリンク(mainichi.jp)
依頼により立てました
スレリンク(scienceplus板:65番)