【宇宙】「はやぶさ」の帰還とカプセルの再突入・回収にむけて--川口プロジェクトマネージャからのメッセージat SCIENCEPLUS
【宇宙】「はやぶさ」の帰還とカプセルの再突入・回収にむけて--川口プロジェクトマネージャからのメッセージ - 暇つぶし2ch1:● ◆SWAKITIxxM @すわきちφ ★
10/03/09 14:49:51 BE:755023673-2BP(1056)
6月の帰還・再突入にむけて運用もしだいに秒読み状態になってきました。
再突入カプセルの担当の方々には、本当にお待たせいたしました。これからが本番です。
再突入と回収は、「はやぶさ」計画を代表する目標の1つです。
なにしろ、スペースシャトルなどの地球周回軌道からの再突入に比べると
1桁も高い熱の条件にさらされ、それに耐える新規技術ですので、
これは大きなステップですし、また大きな関門でもあります。

多くの方は、「はやぶさ」が地球の近くに帰ってくれば、
再突入はパラシュートを開けば完了するかのようにお考えの方も多いのではないでしょうか。
「はやぶさ」から切り離されたカプセルは、高度が70-80kmという高々度で
最大の熱の環境にさらされます。パラシュートを開くのはずっと低い高度ですから、
なんといっても耐熱技術こそがまさに真価を問われるわけです。
「はやぶさ」は、まず、これに挑戦することになります。

この帰還・再突入にむけて、今月から来月にかけて、「はやぶさ」探査機の運用は佳境を迎えます。
よく受ける質問に、これからどんな難しさが待っていますか?というのがあります。
大変心配しているのは、
1.ホイールの寿命、
2.イオンエンジンの運転性、
3.漏洩燃料の再ガス化、
4.イオンエンジン運転中の軌道決定、
5.耐熱材の状態、火工品の環境、分離バネの経年変化です。

ホイールは、ほかの同一設計・製造の2つのホイールが4年前に故障していて、
現在残っている1つが稼働できていることは奇跡的なことです。
イオンエンジンは昨年11月、幸いにも代用の方法で運転を再開できましたが、
本来の使用法ではないために、中和器の状態などがテレメータで
情報が見えない運転を余儀なくされていて、
かりにダメージを受けやすい運転状態に置かれていたとしても、それを把握できないなど、
不安な運用が続きます。ご報告しているようにAエンジンは、
電子レンジでいえば空だき状態で、その寿命も心配なところです。
2005年から2006年にかけて探査機を襲った燃料の漏洩についても、
これまで何度か残存ガスの排気を行うべくベーキングを行ってきましたが、
5月以降は、地球公転軌道よりも内側に入るため、
探査機上面の温度がどんどん上昇して、再びガスが噴出しないか心配なところです。
「はやぶさ」運用で確立をはかってきたイオンエンジン運転中の軌道の推定技術は、
ある程度の精度を確保できる段階までに到達しているのですが、
のこりの地球帰還に向けての推定精度を確保できるかどうか、
これも大変気がかりなところです。
カプセルの耐熱材は、担当者は自信をもっていますが、
探査機の飛行が7年間に延びたことから、性能への影響などやや心配な点があります。
火薬類を用いる機械的なデバイス(火工品)やカプセルを分離する
高分子材料製のバネの経年劣化など、分離の機能が発揮できるかも大いに心配なところです。

この帰還と再突入のイベントが、やり直しのきかない1回かぎりの運用だという点は、
あまり認識いただいていないかと思います。
ロケットの打ち上げも、また軌道上での通常の衛星の運用も、
不具合が起きれば翌日に延期して対処が可能です。
しかし、この再突入の運用には待ったがありません。
どこか途中で運用できない状態が起きれば、その原因が、搭載系であればもちろん、
かりに地上系にあったとしても、再試行ができないか、
あるいは再試行が間に合わないことになって、失敗してしまいます。
スペースシャトルの再突入では、地上系に問題があれば、
また着陸点の天候が悪ければ延期すればよいわけですが、
この「はやぶさ」の再突入には延期はないのです。
ですから、地味ではありますが、この「はやぶさ」の帰還・再突入は、
大変に厳しい運用で、とりわけ傷を負った「はやぶさ」にとっては、かなりの難関になります。

>>2へ続く
URLリンク(www.isas.jaxa.jp)


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