10/02/19 01:06:03
初期人類、航海術に長けていた
ギリシャの島で発見された先史時代の斧から驚くべき事実が判明した。
ホモ・サピエンス(現生人類)がヨーロッパにたどり着くかなり前の時代に、
既に地中海で航海を行っていた者がいたという。
2年前、ギリシャのクレタ島の峡谷で、アメリカとギリシャの考古学者チームがある発掘調査を
行っていた。
約1万1000年前に地中海を往来していた海洋民族が使っていた小型の石器を探していたのである。
目当ての石器は見あたらなかったが、代わりに驚嘆すべき遺物が発見された。アメリカにある
ボストン大学の考古学者で石器の専門家であるカーティス・ランネルズ氏が、
長さ約13センチの頑丈な手斧を見つけたのである。
現地産の石英から削り出されたその粗雑な斧は、17万5000年前ごろまで人類の祖先がヨーロッパ
本土やアフリカで使用していた手斧と類似していた。捕獲した動物の骨や肉を加工したり、皮を
剥ぐのに使われる石器であり、約100万年間そのままの形で受け継がれてきた技術とみられている。
今回の手斧が発見されたクレタ島は、約500万年前から広大な海に囲まれている。つまり、高度な
工作技術を持った現生人類以外の何者かが、数万年間にわたって地中海の島々を転々としていた
可能性が出てきたのである。
ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)か、ホモ・ハイデルベルゲンシスか、
ホモ・エレクトスか、あるいは初期のホモ・サピエンス(現生人類)だろうか。
この時期の初期人類には、ボートや簡素な筏(いかだ)さえも生み出す能力はなかったと考えられ
ていた。装身具を身に付けたり、芸術品を生み出したりといった現代的な習慣を有する現生人類が
出現したのは、約10万年前のことだ。
しかし今回の新発見がその定説を覆すかもしれない。
人類の祖先は、単純な石器からは想像できないほど知的な方法で計画、
協調、物作り(造船)を行っていた可能性が出てきたからだ。ランネルズ氏は、
「こんなに早い時期からクレタ島に石器が存在したなんて、驚天動地の発見だ。
ツタンカーメン王の墓から iPodが見つかるようなものだ」と話す。
>>2に続く
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