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◇シート状のミニ筋肉、動く培養細胞を開発 東北大
2010年2月12日
東北大の研究グループが、細胞から培養した「ミニ筋肉」を張り付けた特殊なシートを開発した。
電気の刺激で収縮するなど動物の筋肉と同じように反応し、繰り返して使えるのが特徴だ。
刺激を重ねるほど、伸縮幅が大きくなる「筋トレ効果」も確認でき、
糖尿病の運動療法や高齢者の筋萎縮(いしゅく)予防などの研究に活用が期待されている。
開発したのは、工学研究科の西沢松彦教授、長峯邦明助教(バイオロボティクス)と
医工学研究科の神崎展(まこと)准教授(分子糖尿病学)ら。
マウスの筋肉(骨格筋)の細胞をガラス皿で、太さ約0.2ミリ、長さ約5ミリの繊維状の
「ミニ筋肉」に培養。血液を固めるたんぱく質で作ったゼリー状のシート(約1センチ角)に移した。
シート上の細胞の両端に電極をつけて瞬間的に電気を流すと縮み、電気を止めればシートの
弾力で伸びて元に戻る。
シートに含まれる培養液で細胞は2週間以上生き続け、繰り返し実験ができる。
刺激を繰り返すと伸縮幅は1週間ほどで4倍に増え、刺激が強すぎるとけいれんも起こすという。
このシートを使うと、血液中のブドウ糖(血糖)や酸素、薬剤を筋肉がどう取り込むかといった
「代謝」の実験が顕微鏡の上で可能になる。筋肉の研究はこれまで生きたマウスに運動を
させながら投薬し、解剖するしかなかった。欧米では動物を使った薬の開発や毒性試験が
禁止されつつあり、培養細胞への転換が急務だった。
神崎准教授は「糖尿病の予防・治療法の研究をはじめ、寝たきりの高齢者の筋力を保つ薬の
開発や筋ジストロフィーなど筋肉の病気の原因究明に役立つ」と期待する。
グループはシートを商品化し、細胞の扱いに慣れていない工学研究者らにも供給する計画だ。
西沢教授は「細胞ごとに別々の刺激や薬剤を与え、違いを比較する実験も可能だ」と話す。
(斎藤義浩)
▽記事引用元
URLリンク(www.asahi.com)
asahi.com(URLリンク(www.asahi.com))
▽関連リンク
東北大学工学研究科・工学部:URLリンク(www.eng.tohoku.ac.jp)
バイオロボティクス専攻の西澤松彦 教授,長峯邦明 助教らの研究グループは,
筋肉細胞の活発な収縮運動を長期維持可能なゲルシート培養系の構築に成功しました。
URLリンク(www.eng.tohoku.ac.jp)