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オゾン層保護は地球温暖化を加速する?
By Kate Ravilious
for National Geographic News
January 28, 2010
地球上のほとんどの地域が温暖化するなかで、南半球の一部では一向に温暖化する気配がない。
不思議なことに、オゾン層に穴が開いていることが原因だ。
オゾンホールをふさぐための対策すべてが、
実は南半球の全域で温暖化を加速させる可能性があるとする研究が発表された。
夏の間、オゾンホールが遠因となって通常より明るい色の雲が形成され、
これが太陽光を通常より多く遮断し、数十年間に渡って地球温暖化に対する防護壁となっているという。
この研究の責任者でイギリスのリーズ大学に所属するケン・カーズロー氏は、
「オゾン層が修復され雲が消えていくにつれて、(南半球の一部では)予測モデルで算出されている
温暖化のスピードより速く気温が上昇するだろう」と話す。
1985年、南極上空の上層大気のオゾン層に巨大な穴が開いていることを英南極調査所が発見した。
上層大気のオゾンは太陽からの有害な紫外線を吸収する働きを持つ。
その後、オゾン層破壊の大きな原因となる化学物質であるクロロフルオロカーボン(CFC)を
全廃することで世界的な合意が得られ、これによってオゾンホールの拡大は抑制された。
これは20世紀における環境保護対策の最大の成功例の1つとされている。
しかしオゾン層修復の速度は遅い。1980年代の初め以降、オゾン層の破壊で上層大気が
変化したために南極周辺の周極風が強まっている。
コンピューターモデルと20年分の気象データから、カーズロー氏の研究チームはこの風が
気温低下に繋がっていることを突き止めた。風が強まって海上の波が高くなると、大気中に
巻き上げられる塩の粒子が増えて通常よりも明るい色の雲の形成を促進し、その雲が
太陽光を宇宙に跳ね返して気温を低下させる効果を生むという。
1980年代以降のオゾンホールによる夏の気温低下は、
二酸化炭素排出量の増加による温暖化をほぼ相殺していたとカーズロー氏は言う。
この研究は2010年1月27日公開のオンラインジャーナル「Geophysical Research Letters」誌に
掲載されている。
▽記事引用元
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