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科学や医療などの学術雑誌がネット上で閲覧できる「電子ジャーナル」の購読料が高騰を続け、
各大学の図書館が悲鳴を上げている。
国内の大学全体の購読料は04年度の約62億円が07年度には約155億円に急増。
学術界で論文出稿が増加したことが主な要因で、各大学は、国公私立の壁を越えて、
出版社側との値下げ交渉を模索している。
電子ジャーナルは90年代後半から紙媒体に代わって一般的になり、
出版社の持つ全雑誌や分野ごとに購読するパッケージ契約が普及した。
購読料を支払って契約すればネット上で雑誌を読んだりダウンロードできる。
購読料は高額だが、電子化の初期投資の回収後は、
一冊当たりの経費が安上がりになるとみた各大学は、
多くの雑誌が閲覧できるパッケージ契約を進めた。
ある私立大図書館長は「研究者が成果を上げるには幅広い雑誌を閲覧できる環境が必要。
パッケージ契約は雑誌ごとの購読より大幅な割引になり魅力的だった」と話す。
学術雑誌は二重投稿が禁止され、各分野の研究は最新の成果を載せた雑誌を読むしかない。
エルゼビア(オランダ)、シュプリンガー(ドイツ)など欧米の出版十数社で
市場の9割を占めて価格競争が働きにくいうえ、アジアを中心とした学術論文の増加で
出版社の論文審査の経費がかさみ、値上げが続いた。
国の大学予算は削減されており、各大学は図書館資料費を削る傾向にある。
国立大学図書館協会(国大図協)は02年度、一部の公私立大は03年度から、
出版社に対して団体で価格交渉を始めた。
しかし、多くの出版社は「論文は年約3%の割合で増えている」などと譲らず、
交渉は値上げ幅を抑える効果しかない。
文部科学省は04年度から購読料調査を行っている。
同年度の国公私立大全体の購読料は61億9800万円(1校平均865万円)だったが、
07年度は155億2600万円(同2064万円)に膨れた。
国大図協の事務局でもある東京大は国内の大学では最高額の
年間約10億円の購読料を支払っている。
東大付属図書館事務部は「ずっと値上がりが続く現状の価格システムは破綻(はたん)する。
公私立大と統一の交渉事務局を発足させ、研究環境の維持に努めたい」と話している。【井崎憲】
毎日jp
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