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>>1のつづき
研究チームの一員でアメリカにあるオハイオ州立大学の天文学者アンディー・グールド氏は、
「ガス惑星の軌道が外側で安定している恒星系では、地球型惑星が軌道から
はじき飛ばされることなく繁栄できる可能性がある」と話す。さらに、木星の研究によると、
外側の巨大ガス惑星が持つ強い重力はシールドとしても機能するという。
内側の岩石惑星やそこに住む生命体が、頻繁に発生する小惑星の衝突から
保護されるからだ。
太陽系に似た恒星系を発見するため、100人近くの専門家が
「マイクロレンズ・フォローアップ・ネットワーク(MicroFUN)」という観測チームを結成し、
重力マイクロレンズ効果を利用した銀河系の徹底探索に取り組んでいる。
重力マイクロレンズ効果とは、地球から見てある恒星が別の恒星の前を通り過ぎるときに
観察される現象だ。手前の恒星の重力がレンズのように働いて、遠い方の恒星の光は
屈曲し明るさを増す。観測は難しいが、手前の恒星に軌道周回する惑星がある場合、
明るさを増した光に照らされた姿を発見できることがある。非常に微妙な手掛かりだが、
これにより惑星の存在を特定できる。
4年分の重力マイクロレンズのデータを統計分析したところ、銀河系のすべての恒星が
太陽系と相似形と仮定した場合、このような惑星を持つ恒星系が少なくとも
6つは発見されているのが自然だとわかっている。
しかし、太陽系に似た恒星系が発見された例はこれまでに1つ、木星と土星型の
惑星を持つ恒星系が2006年に発見されただけだ。
「したがって、銀河系で太陽系と類似した恒星系は15%ほどということになる」と
グールド氏は話す。今回の研究成果は、アメリカのワシントンD.C.で先週開催された
アメリカ天文学会の第215回会合で発表された。
「ただし、この数字は限られたデータに基づく非常に大ざっぱな概算だ。
今後数年でほかの恒星系が発見されれば、この数字も変わるだろう。例えば、
地球型惑星だけで巨大ガス惑星のない恒星系も存在する可能性がある。
ただし、いまのところは何とも言えない。恒星までの距離が遠すぎて、
現在の観測機器では小さな岩石惑星を発見できないのだ」。
ケプラー宇宙望遠鏡のような新しいプラネット・ハンティング・ミッションが成果を
もたらすようになれば、状況は変わるかもしれない。
スイスのチューリッヒにある天文学研究所のミヒャエル・マイヤー氏は、
今回の研究を受けて次のように話す。「近年の研究により、“スーパーアース
(巨大地球型惑星)”など低質量の岩石惑星が天の川銀河で比較的多く存在している
可能性があると示唆されており、今回の研究もそれに続くものだ。
小質量の地球型惑星が恒星系に含まれるケースも、結構ありふれているのかもしれない。
大質量の巨大ガス惑星や巨大氷惑星との力学的関係をさらに解明すれば、
地球型惑星の普遍性を把握できるだろう」。